兵庫県赤穂市有年木虎谷古墳群


木虎谷古墳群

 【管理人推薦】【2号墳が県史跡】

 赤穂市有年原の原小学校北側の山麓の竹林一帯に分布する19基と石棺1基からなる群集墳です。すべて六世紀頃の築造で、1、2号墳が見学しやすい位置にありますが、林の奧に、横穴式石室が密集しています。

 小学校の北側から竹林に入っていくと、すぐ1号墳があります。現存で径10mほどの円墳で石室は羨道が失われていますが、現存長7m、玄室幅1.7m、高さ1.9mで、奥壁の鏡石は2石を横に並べています。さらに山道を進むと、3号墳があります。径10mほどの円墳で、墳頂に小型の横穴式石室が露出しています。3号墳から左側の斜面を50mほど登ると、斜面に石棺材が露出しています。墳丘はなく、内部は埋没しています。

1号墳石室正面

1号墳玄室奥壁

1号墳玄室奧から

山道沿いにある3号墳

3号墳玄室奥壁

3号墳玄室左側壁

斜面に露出した石棺材

石棺材内部、埋没

 3号墳の先から、北東方向へ山林内を突っ切って行くと、多数の古墳が密集した緩斜面に出ます。最も北西にある10号墳は径15mほどの大きな円墳で外護列石があります。横穴式石室は真南に開口。玄室長7m以上、幅1.7m、高さ2.2mの無袖式で、前側は破壊されています。奥壁は上下二枚プラスアルファ。側壁は石材は小さいですがほぼ垂直にしっかりと積まれています。すぐ東にある12号墳は径15mほどの円墳で、横穴式石室は南南東に開口し、羨道部が破壊されています。現存長5.5m、墓道を含めると長さ7.5m、玄室幅1.5m、高さ2m、おそらく無袖式です。奥壁は横二枚に上一枚。側壁の石材は小さめです。

10号墳

10号墳石室正面

10号墳玄室奧壁

10号墳玄室奧から

12号墳石室正面

12号墳開口部

12号墳玄室奥壁

12号墳玄室奥から

 南にある9号墳は横穴式石室の入口がかなり埋まっていますが、内部は完存。全長7mほど、玄室幅1.5m。高さ1.6m以上の無袖式で、細長い構造です。側壁がかなり傾いてきており、入室はしないほうが良いでしょう。東方向にある7号墳は横穴式石室の前側は破壊されていますが、玄室部分は完存。全長6.5m以上、玄室の現存長4m、幅1.3m、高さ2mの無袖式で、玄室の石積みは小型ながら、しっかりと積まれています。

9号墳石室正面

9号墳石室内部、かなり傾いている

9号墳玄室奧壁

9号墳玄室奧から、傾きがすごい

7号墳石室正面

7号墳玄室奥壁

7号墳玄室奥から

 7号墳の東側斜面にある6号墳は小石室の奥壁付近が露出しています。幅1.2mです。その南にある13号墳は、石材が散乱し、石室の玄室付近がかろうじて残っています。長さ2m以上、幅0.8mのサイズです。さらに東は14号墳の小型の横穴式石室が露出し、奧壁付近は良好に残っています。長さ2m以上、幅1.1m。高さ1.3m以上、前側は埋まっています。

6号墳、小石室奥壁方向

13号墳、石材散乱

13号墳、石室奥壁方向

14号墳、横穴式石室開口

14号墳、玄室の奧側が残存

14号墳、玄室右側壁

 7号墳の奧、このエリアの中心にあるのが8号墳です。横穴式石室は羨道がやや壊れていますが玄室は完存。現存長4.3m、玄室長3m、幅1.5m、高さ1.8m以上の左片袖式で、袖部は板石に近い石材を大きく突き出して仕切っていて、ほかとは違う構造です。。奥壁は下二枚、上一枚。側壁は小型の石材を積んでいますが、安定感があります。

8号墳石室正面

8号墳羨道、玄門の石材は見た目より薄い

8号墳玄室奧壁

8号墳玄室奧から、左片袖式

 このエリアの東側の尾根筋斜面上には小古墳が連なっています。6号墳東側の16号墳は、小石室が破壊され、石材が一部残っている状態。すぐそばの4号墳は、箱式石棺が半分露出しています。少し北東にある15号墳は小横穴式石室が開口。現存長3m、幅0.9m、高さ0.8m以上で、前側は破壊されていますが、玄室奧側は良好に残っています。

16号墳石材露出

4号墳箱式石棺

15号墳石室正面

15号墳玄室奥壁

 斜面の上の方にも小横穴式石室が集まっています。5号墳は石室が崩壊し、石材散乱。上方の17号墳は小石室が露出、内部はかなり埋まっています。

5号墳石材露出

17号墳石室露出

17号墳玄室奥壁

17号墳玄室入口方向

 18号墳は、小石室の奧側だけが残存。下側が埋まっていますが、石組みは良好に残っていて、鏡石らしい石材が見えています。最上部にある19号墳も奥壁付近だけが残っています。状態は良くありません。

18号墳横穴式石室

18号墳石室奥壁

19号墳石室正面

19号墳石室内部

 2号墳は1号墳の東50mの民家裏の竹林中にあり、全長9.5mの両袖式大型石室が開口しています。玄室長5.3m、幅2.2m、高さ2.4mの規模で厚さ0.45mの巨大な石棚がはめ込まれています。すぐ南の民家庭に11号墳の石室が半壊しており、2004年に現地説明会が行われました。径10mほどの外護列石を持つ円墳で、横穴式石室は全長5m、幅1.5m、高さ2.5m。飛鳥時代に追葬された跡が見つかっています。

2号墳、径20m近い円墳

2号墳羨道部

2号墳玄室奥壁、巨大な石棚がある

2号墳奧から玄門

11号墳石室、2004年に現地説明会開催

11号墳奥壁と右側壁


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