兵庫県芦屋市の古墳


芦屋神社古墳

 芦屋市東芦屋町の芦屋神社境内にあります。南に開口する横穴式石室墳で全長7.4m、玄室長3.7m、幅2m、高さ2.2mの右片袖式です。玄室内に水神社が祭られていて、奥には入れません。

石室正面

玄室内部、社が祭られている

奥壁


旭塚古墳

 芦屋市山芦屋町23、元、旭化成寮中庭にあり、大型の横穴式石室が露出していました。2007年に寮の閉鎖後、発掘調査を経て、現在は埋め戻され、山芦屋遺跡緑地として保存されています。

緑地となった現状

旭化成寮の中庭にあった時の状況

 2007年に宅地造成に伴い発掘調査されました。墳形は従来円墳か方墳と考えられてきましたが、コーナー付近で面取り状の貼り石が見つかり、八角形墳の可能性が高くなりました。盛り土は少なく、地山を削って20m近い墳丘を造り、外護列石が巡っていたと思われます。横穴式石室はすでに天井部を失った形で露出していましたが、一部コンクリートで補強されていたり、近代に一部改変を受けているようです。全長9.8m、玄室長4.1m、幅2.1m、高さ2.1m以上、羨道長5.7m、幅1.6mの両袖式で、側壁には巨石を縦積みし、奥壁には、ものすごく分厚い巨石を使用しています。近くの六甲山系から容易に入手できる花崗岩の巨石を多用しているようで、すぐ近くの山芦屋古墳石室(埋め戻し)にも推定30tの県内最大の奥壁材が使われています。玄室床面にも巨石が置かれていますが、棺台か石棚なのか、用途はまだ不明です。羨道床面には多量の竜山石や花崗岩の小礫が敷かれていましたが、前庭部にも竜山石を砕石加工した跡が見つかり、こちらは石棺の加工場所ではないかと推測されます。終末期の巨石墳で竜山石石棺となると、被葬者は大和政権と強く結びついた七世紀頃のかなりの有力者ということができそうです。

古墳の全景、多角形墳らしい

石室正面

玄室、奥壁前の床面に巨石がある。棺台?石棚?

奥壁石材の厚さがすごい!


八十塚古墳群岩ヶ平支群

 

 八十塚古墳群は芦屋市の山手、六麓荘町・岩園町から隣の西宮市苦楽園にまたがる群集墳ですが、住宅建設でかなりの古墳が消滅し、芦屋市側の岩ヶ平支群では八十塚橋周辺や岩園神社境内に一部が残っているだけです。八十塚橋バス停そばの岩園緑地の中には12号墳があります。現状で径10mほどの円墳で、墳丘は低く削れています。墳丘上には横穴式石室の奥壁と右側壁の一部だけが露出しています。

岩園緑地の中にある墳丘

石室正面、奥壁と右側壁の一部のみ残る

玄室奥壁

 すぐ東の岩園神社境内に13号墳があります。墳丘は流失し、横穴式石室の石組みが露出しています。天井石を失い、玄室などが半壊していますが、群内では良好に残っている方です。

石室正面

石室側面から

石室奧側から

石室内部、奧側から

 岩園神社のすぐ南の崖先端に14号墳があります。墳丘上に役小角の石碑が建っていて、その奧に横穴式石室が露出しています。斜面に石室入口がありますが、内部は埋まっています。そこから石碑まで石室材が露出しています。石碑は天井石を転用している可能性大です。

墳丘上に役小角の石碑が建っている

石室正面、内部は埋まっている

玄室付近

 八十塚橋バス停の東100mの緑地内に1〜8号墳が現地保存されています。フェンスで囲まれ、薮に覆われて内部はよくわかりません。他の古墳はすでに消滅しているようです。

バス停東100mの緑地内に1〜8号墳が現地保存

11号墳跡地

15号墳跡地

 2014年に宅地開発に伴い、岩ヶ平支群の16、17号墳が調査されました。16号墳は径15m以上の円墳で、墳丘は真砂土と粘土による版築で築かれています。埋葬施設は花崗岩の自然石で造られた横穴式石室で、全長8m以上、玄室長4m、幅1.2m、羨道長4m以上、幅1mの左片袖式です。六世紀後半の築造で、六世紀末に追葬が行われています。現地は徳川大坂城東六甲採石場でもあり、古墳に隣接して、矢穴石と採石土壙も発見されました。

16号墳、横穴式石室正面

玄室奥壁

隣接地で徳川大坂城石垣の採石跡を発見

 17号墳は径10m以上の楕円形墳で、墳丘は版築で築き、墳丘内列石を巡らせています。横穴式石室は、全長5.5m、幅1mの無袖式で、前庭部があります。六世紀後半の築造で、六世紀末に追葬が行われています。六世紀末の築造で、七世紀初頭以降に二回の追葬の痕跡がありました。

17号墳、横穴式石室正面

玄室奥壁

石室奧側から


金津山古墳・打出小槌古墳

 芦屋市春日町、阪神電車打出駅すぐ北東にあります。まわりを住宅地に囲まれた全長55mの前方後円墳で、前方部はすでに削られています。西100mのマンション前に打出小槌古墳の説明プレートがあります。完全に埋没しており、埴輪・葺石がかつて出土して古墳の存在が知られていましたが、阪神淡路大震災で倒壊した住宅跡の発掘調査で全長90mの市内最大の前方後円墳と判明しました。


阿保親王塚古墳

 芦屋市翠ヶ丘町、JR芦屋駅北東500mにあります。径36m、高さ3mの周濠をもつ円墳です。

 


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