愛知県渥美半島(田原市)の古墳


城宝寺古墳 【管理人推薦】【県史跡】

 田原市田原稗田、豊橋鉄道三河田原駅の西、城宝寺境内にあります。渥美半島最大の円墳ですが、墳丘は庭園風にかなり改変されています。横穴式石室は羨道部が改変されていますが、長大な玄室が完存。全長9.4m以上、玄室長6.4m、幅2.5m、高さ2.4m、羨道長3m以上、幅1.3m、高さ1.5mの左片袖式で、右側にも、わずかに石材が突出しています。奥壁は横長の石を六段に積んでおり、大日如来がまつられています。床面には棺台らしいものも残っています。構造的には志摩地方の石室と共通するものがあります。

古墳正面

奥壁、横長の石材を6段積み

左片袖の玄門部

城宝寺境内にある渡辺華山の墓


神明社古墳

 田原市田原、城宝寺古墳の北西500mの神明社境内にあり、稲荷社の本殿裏に石室が開口しています。横穴式石室は南東に開口し、玄室長4.32m、幅2.67m、高さ2.31m、羨道長1.74m以上、幅1.32mの左片袖式で、玄門部には立柱石が両側にあります。奥壁の鏡石以外は小型の石材を横積みし、緩やかな持ち送りが見られます。玄室内には左右側壁に沿って、各1基の組合せ式箱形石棺が置かれています。右側壁側の石棺は1.8m×1.1mの大きさで、床に大きな底石を置き、その周りに板石を並べています。左側壁石棺は1.6m×0.6mと小さく、底石は二枚、ともに蓋石は残って居ません。

石室開口部、手前に巨石が1個あり

持ち送りのある高い玄室

奧から、左片袖式

2基の石棺、左側の底石が巨大


(えいがん)第1古墳

 田原市田原町東栄巌の衣笠小学校前にあります。小学校の建設時に古墳群が調査され、1号墳のみ現状保存されました。墳丘はかなり破壊されていますが、径20mほどの円墳と思われます。横穴式石室は南西に開口し、奥壁と右側壁のみが残っています。玄室長4.6m、幅3.3m、高さ2.6m以上、奥壁はあまり加工しないチャートの巨石二枚を横に並べ、玄門には巨大な立柱石と仕切石があります。渥美半島でも最大クラスの大型石室ですが、完存していないのが非常に惜しいです。

石室正面から、奧に見えるのが小学校の校舎

玄室奥壁、巨石が横に二枚

側面から、右側壁

奧から、玄門の右立柱石と仕切石


西鎌田古墳

 田原市西鎌田、栄巌古墳の西300mにあり、2015年に道路拡張工事で調査され、小型の横穴式石室を新たに発見しました。長さ4m、幅2mの大きさで、玉類、耳飾り、鏃などが出土しました。奥壁は鏡石を横に二枚並べていますが、これは、この古墳の東400mにある栄巌1号墳の大型石室の奥壁と同じ設計思想です。両者の密接な関係が窺えます。

道路脇に開口していた

石室正面、手前には閉塞石も残る

玄室奥壁と右側壁、鏡石は横に二枚


篭池古墳 【管理人推薦】【市史跡】

 田原市大久保、国道259号線から北へ100mほど入った道路沿いに説明板が立っています。林の中に石室が露出しており、玄室天井石が無くなっています。石室は複室構造・両袖式の立派なもので、玄室長4.4m、幅2m、高さ2m、奥壁に沿って組合せ式箱式石棺が完存しており、石棺材はラジオラリアという赤い板石です。

天井石はほとんどなく、補強材だらけ

玄室奥壁にそって石棺がある

後室の玄門、両袖式

前室奥から、左片袖式


新美古墳 【管理人推薦】【市史跡】

 田原市西神戸、国道259号線から洲田交差点を南に700mほど進んで、道が少し登って大きく右にカーブした先の左手竹林の中にあります。古墳の前には立派な説明板がありますが、道路沿いにはまったく案内がないので、場所がわかりにくいです。墳丘はかなり破壊されていますが径20mほどの円墳とみられます。南に開口する横穴式石室は羨道が半壊していますが、現存長7.8m、玄室長5.2m、幅2.2m、高さ約2.5mの両袖式で天井は前後が丸いドーム状になっています。床面には屍床を区切る板石が二ヶ所に残っていました。

正面より

石室開口部

奥壁、屍床が2ヶ所に残っている

両袖式の玄門部、支柱で区画し、天井部は丸い


大石古墳

 田原市(旧赤羽根町)大石の成章高校南側、国道42号線大石交差点を北へ曲がり、すぐの市道を右へ曲がると、大石古墳の標識が立っています。その先の廃屋の建物東側に横穴式石室の基底部が残されています。現在は雑草に覆われて、全体像が見えないのですが、奥壁や入口付近の石材がかろうじて確認できます。

石室奧から、雑草に覆われている

石室奧から、入口付近の石材


鬼堕(きおとし)古墳

 田原市(旧赤羽根町)若見に存在した三基の古墳群のうち、2号墳が調査後、伊良湖岬のフェリー乗り場の東隅に移築保存されています。径10mの円墳で横穴式石室の基底部のみが残されていました。


藤原古墳群

 田原市(旧渥美町)中山、渥美半島の先端の砂防林の中に分布しています。砂地に営まれた横穴式石室を主体部とする古墳群ですが、現状は明確に古墳と認識できるのは、標柱が立っている1基だけです。

 


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