広島県福山市(旧駅家町・加茂町)の古墳


二子塚古墳 【管理人推薦】【国史跡】

 駅家駅北の弥生が丘団地の東端にある池の内遺跡公園の東側にあります。全長67m、後円部径41mの前方後円墳で、幅4mの周溝が巡ります。横穴式石室は後円部、前方部それぞれにあり、前方部石室は埋没していますが、発掘調査で側壁の一部が確認され、全長12.5m、玄室幅2m、高さ2.4m以上の規模と判明しました。後円部石室も2005年に調査され、県下最大クラスの全容が明らかになりました。前庭部を含めた全長は22.3m(前庭部を除くと14.9m)になり、奈良の平林古墳を凌ぎます。玄室長6.8m、幅2.1m、高さ3.3m、羨道長8.1m、幅2m、高さ2.6mの両袖式で、巨大な花崗岩を使用し、特に奥壁、天井石はひときわ巨大です。床面には河原石を敷き詰め、竜山石製の組合せ式石棺の底石が残っていました。出土した遺物から、両石室はほぼ六世紀末の同時期に築かれています。この時期、畿内ではすでに前方後円墳の築造が終焉しており、西日本における最後の前方後円墳の可能性大です。

後円部石室の上を道路が通っている

発掘調査で検出した前方部石室の一部

後円部石室開口部

後円部石室羨道

後円部石室玄室奥壁 巨石を使用

後円部石室奥から外、石棺の底石が残存

 2013年度の保存整備事業のための前方部石室調査で、全体の平面形や構築状況が判明しました。横穴式石室は天井石と玄室側壁上部を失い、羨道は基底部のみ残っていました。全長12.6m、玄室長5.1m、幅2m、羨道長7.5m、幅1.6mの両袖式で、袖部は20cmほどしかありません。県内では第4位の規模です。石室前に、掻き出された閉塞石と土器が集中した場所がありました。両石室は墳丘の構築と合わせてほぼ同時に築かれたと思われます。

前方部石室正面

玄室

奧上から


最明寺板碑石棺材

 駅家町中島の最明寺にあります。1357年に建立された板碑で、大きさは180×75×10cm。二子塚古墳の石棺の側石(凝灰岩)を転用したものと考えられています。

 


権現古墳

 駅家町中島、最明寺の南200mの熊野神社境内にあります。小型の横穴式石室が露出し、天井石の上に社が建っています。石室内部は玄室長3.2m、幅1.5mの規模で、奥壁は抜かれています。

露出した石室の上に社が建つ

石室奥壁側より

石室内部、奧より


宝塚古墳

 駅家町新山、二子塚の谷をはさんだ北側の墓地の奥にあります。全長7.3mのやや大型の石室が開口しています。幹線道路から、案内板が完備していますが、全部「高塚古墳」と表示されています。困ったもんです。

どっちがほんまの名前やねん!

石室開口部


刈山1号墳

 駅家町新山、最明寺の北側にある服部大池の西側の道に標識があり。そこから西の谷間に入っていった北側斜面にあります。封土は失われ、横穴式石室の玄室だけが露出。現存長2.9m、幅1.6m、高さ1.4mの規模で、内部はかなり埋まっています。他の2基の古墳があったらしいですが、詳細不明。

谷間の斜面に石室露出

石室正面

玄室奥壁

左側から


大迫金環塚古墳 【管理人推薦】

 駅家町新山、近くの服部大池の北側、神社前の道を西へ入ると、民家の石垣と一体化した石室が露出しています。大迫古墳の名で案内板完備。全長11。6mの大型の石室で玄室は奥壁1枚、側壁3枚、天井2枚の花崗岩の巨石で構築されています。その巨大な空間に圧倒されます。


北塚古墳

 駅家町服部永谷、大迫金環塚古墳の北1kmの東側の山を少し登ったところにあります。家形石棺風の横口式石槨の石材のみが露出していますが、天井石の小口側の加工が左右非対称です。後ろ側の天井石の曲線の加工が美しい。


山の神古墳 【管理人推薦】

 駅家町法成寺、服部大池東500m、法成寺バス停から北西へ徒歩5分。小さな丘の上にポツンと墳丘が見えています。石室は片袖式のドーム状で古い形態です。柿塚古墳に似ています。


二塚古墳 【管理人推薦】

 駅家町法成寺、山の神古墳から南西へ徒歩10分、藤井氏宅裏庭にあります。墳丘はまったくなく玄室の奥側のみが完全に露出していますが玄室高が3。1mあり、現存していれば二子塚以上の大型石室なのは間違い有りません。むき出しになった巨石に圧倒されます。


掛迫6号墳

 駅家町法成寺、土井塚古墳の北西の尾根上にあり、福山北産業団地へ向かう広い道路の途中から古墳へ楽々行ける脇道が出来ています。案内板完備。細長い竪穴式石室が2基露出していますが出土した鏡などが福山の県立歴史博物館に展示されています。

 


粟塚古墳群・正福寺裏山1号墳

 駅家町法成寺、福山北産業団地内の古墳が調査され、工業団地東端の給水塔隣に粟塚古墳の丘公園として保存されています。粟塚5〜8号墳が調査後現地保存(いずれも小石室)、3号墳は試掘のみ。正福寺裏山1号墳は移設保存。四世紀の円墳で竪穴式石室の床に排水溝がある珍しい構造です。


狼塚2号墳 【管理人推薦】

 上記の粟塚古墳の丘公園に移設保存。大佐山白塚・大坊古墳と同じ構造の石室で、大坊古墳石室の2分の1の設計です。羨道部で施錠されています。


土井塚古墳

 加茂町下加茂、福山北特別支援学校北側の崖に開口しています。現存長5mの大型石室ですが、物置と化しています。


猪の子1号墳 【管理人推薦】

 加茂町下加茂、福山北特別支援学校から北東へ1。5km、江木神社境内にあります。付近は道狭し。白壁塚そっくりの横口式石槨です。天井石が割れていて、立入禁止なのが残念。


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