広島県福山市(旧新市町東部・芦田町)の古墳


大佐山白塚古墳 【管理人推薦】【県史跡】

 新市町戸手、大佐山山頂近くにあります。戸手商高横から谷を奥へ入り、春日神社のところから古墳近くまで車で登っていけます。案内板完備。花崗岩の巨石を使った全長7.8mの大型石室で石室を二等分する位置に石柱を立てその上に梁石を渡して玄室と羨道を区別しています。周辺に小古墳群が点在。

 2013年に再訪しました。周辺が伐採整備されて、大佐山古墳群も7基に増えました。大佐山白塚古墳(1号墳)は背後をカットした一辺12mの方墳で、前側裾に貼石の列石があります。南に開口する横穴式石室は花崗岩の切石で築かれ、全長7.78m、玄室長3.8m、幅1.97m、高さ2.2m、中央に柱石と横石で玄門を形成しています。奥壁、天井は1枚石、側壁は上下二段積み。表面は平面に削られています。

周囲が伐採されてわかりやすくなった墳丘

石室正面

羨道から玄門

玄室奥壁

玄室奧から

右側壁石材の巧みな組合せ


大佐山古墳群

  白塚からみた古墳群、左が3号墳

 大佐山白塚古墳の南側の尾根上の狭い範囲に2〜7号墳が点在しています。2〜5号墳は尾根上に並んでいて、いずれも切石風石材を使用した小型の横穴式石室です。

2号墳、1号墳のすぐ下に開口

2号墳石室内部。真四角な奥壁

3号墳

3号墳石室内部、石材表面は丁寧に加工されている

4号墳

4号墳石室内部、3号墳とそっくり

5号墳、内部はかなり埋まっている

5号墳、側面から

 6、7号墳は、東側の斜面にあり、天井石が露出しています。6号墳の奥壁は一枚石ではなく、切石風でもないので、築造時期が他よりも早いかも知れません。

6号墳、天井石が2個露出

6号墳石室内部、少しテイストが違う

7号墳、天井石1個露出

7号墳石室内部、埋まっている


ヤブ口古墳

 大佐山白塚古墳からさらに山奥にあるため、ここで紹介しますが、位置的には駅家町新山になります。見晴らしの良くない谷間を見下ろす丘陵上に築かれていて、墳丘はかなり流失しています。横穴式石室は天井石が露出、全長6.2m、奥壁幅1.53m、入口幅1.8m、高さ1.65mの無袖式で、入口幅を広くして遠近法で奥行き感を出しています。奧・側壁はすべて一段に巨石を並べ、天井石も巨石を三枚構架しています。石材は切石風ですが、大佐山白塚ほど切石ではなく、その前段階を思わせる素晴らしい終末期古墳です。

横穴式石室がほとんど露出

石室正面、奥行き感を演出

玄室奥壁、すべて一段積み

石室奧から、巨石が並ぶ


妙見堂古墳

 新市町相方、大佐山白塚古墳への登り道のある上記春日神社の東150mの南向き尾根先端にあり、南側の道路に標識が出ています。小さなお堂の後ろに横穴式石室の奥壁付近だけが残っています。奥壁は横に巨石二枚、1個だけ残った天井石は巨石ですが、割れています。古墳下の民家庭に石室材と思われる巨石が置かれています。

横穴式石室の奥壁付近が露出

横穴式石室、正面より

玄室奥壁

古墳近くの石室材と思われる巨石


後池古墳群

 新市町相方、曽根田白塚古墳の北側斜面にある17基の古墳群ですが開発でほとんど消滅し、後池ゴルフ場北側の道路をはさんだ崖っぷちに1号墳が現状保存、西側の工業団地入口に17号墳が復元保存されています。ともに小型の横穴式石室をもちます。

 

1号墳、径11mの円墳

1号墳横穴式石室(6.2×1.6×2.5m)

17号墳、径10mの円墳

17号墳横穴式石室(3.7以上×1.4×1.4m)


曽根田白塚古墳 【管理人推薦】【県史跡】

 芦田町下有池、後池古墳群のすぐ南の尾根上ですが、ぐるりと迂回して山の南側の道路から登り道があり、道路に標識があります。私の足で約8分です。白壁塚古墳に似た横口式石槨ですが床石がありません。隙間に漆喰が残っています。側石をわざと割って石材を左右対称に見せたりしていて、阿倍文殊院西古墳と共通する設計思想があります。


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