姫路市広畑区・下野群集墳南部


 姫路市広畑区西蒲田、夢前中学校北側の白毛山東山麓に分布する群集墳です。見野や丁と比べると知名度が低く、資料が乏しいのでこれまで内容がよくわからなかったのですが、近年分布測量調査が行われ、ようやく全体像があきらかになってきました。その結果、32基の古墳が確認され、市内でも有数の後期群集墳であり、横穴式石室もいくつか良好に残っていることがわかりました。しかし、100m×400mの非常に広い範囲に分布していて、あまり整備されていないので、全体を見学するのはとても大変です。古墳検定二級以上の方にお奨めします。 【管理人推薦】

 

1号墳

 東側の住宅街の南から山道を登っていくと、南端に1号墳があり、横穴式石室が半壊して露出しています。径15mほどの円墳で、石室は全長6.7m、玄室長3.4m、幅2m、羨道幅1.7mの左片袖式、側壁は板石を立てています。七世紀中頃の築造と思われます。

玄室奧から入口方向

玄室奥壁付近

2号墳

 径15mほどの円墳で、天井石を失った横穴式石室が露出しています。全長6.8m、玄室長4m、幅2.1mの右片袖式で、側壁は板石を立てています。七世紀中頃の築造と思われます。

石室正面

玄室奥から、手前は奥壁

3、4号墳

 2号墳のすぐ西にある3号墳は径17mの円墳で、石材が1個露出しています。4号墳は径11mの円墳で、横穴式石室の天井石が露出しています。

3号墳

4号墳

5号墳

 5号墳は径12mの円墳で、半壊した横穴式石室が露出しています。大きな天井石が一枚のみ残り、内部はかなり埋まっています。

石室正面

玄室側

14、15号墳

 2号墳のすぐ東にある14号墳は、径12mの円墳で、石材が一部露出しています。15号墳は、径10mの円墳ですが、低いマウンドが残るのみです。

14号墳

15号墳

6号墳

 4号墳の少し北にある6号墳は、径11mの円墳で、大きな天井石が1個露出しています。石室内部はほとんど埋まっています。

6号墳石室正面側

石室内部

10号墳

 10号墳は、山側の薮の中にあ径19mの円墳で、山側には周溝があります。墳丘はかなり崩壊し、巨大な天井石が露出しています。羨道はかなり埋まっていますが、玄室は完存。羨道の天井から内部に入れます。全長8.1m、玄室長3.3m、幅2m、高さ2.5m、羨道幅1.5mの左片袖式です。奥壁は四段、側壁は割石をあまり持ち送らずに積んでいて、袖石は低い柱石を突き出しています。六世紀末頃の築造です。

露出した巨大な石室

羨道天井の開口部

玄室奥壁

玄室奧から

30号墳

 10号墳の北に30号墳がありますが、このあたりは薮の中で、見通しがききません。径15mの円墳で、大きな天井石が露出しています。石室内部は完全に埋まっていますが、石室全長は8mはありそうです。

6号墳石室正面側

石室内部

12号墳

 30号墳から北東に薮を突き抜けると12号墳があります。径20mの円墳で、横穴式石室の入口は埋まっていますが、奥壁側が開口しています。全長7.5m、玄室長3.4m、幅2.1m、高さ2.2m以上、羨道幅1.7mの左片袖式です。奥壁から土砂が流入しています。10号墳とほとんど同じ寸法ですが、少し新しい七世紀前半頃の築造です。

石室正面側は埋まっている

奥壁側が開口

玄室奥壁

玄室奧側から

9、20号墳

 10号墳の東隣りにある9号墳は、径9mの円墳ですが、薮に覆われています。12号墳の山側にある20号墳は径13mの円墳で、横穴式石室の石材が露出しています。

9号墳

20号墳

18、19号墳

 12号墳の北の薮の中にある18号墳は、径10m以上の円墳ですが、墳丘は崩壊し、石室の残骸が露出しています。山側の20号墳北となりある19号墳は墳丘はほとんど失われ、石室の石材がわずかに露出しています。なお、18号墳には32号墳、19号墳には31号墳と手書きの札が掛けられています。分布調査がまだ確定していないのかも知れません。

18号墳

19号墳

17号墳

 18号墳から北に薮を突き抜けると17号墳があります。径18mの円墳で、墳丘、横穴式石室とも良く残っています。石室は羨道が埋まって、玄室との境目が不明確ですが、全長8.7m、玄室幅1.8m、高さ2mの無袖式です。開口部は狭いですが、内部は広いです。

石室正面側は埋まっている

奥壁側が開口

玄室奥壁

玄室奧側から


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