王族級の古墳を示す構築技術


■奈良県香芝市平野「平野塚穴山古墳第7次」

 2019年6月30日 現地説明会/香芝市教育委員会

 国史跡・平野塚穴山古墳は過去の調査で夾紵棺、漆塗籠棺が出土し、終末期の王族クラスの墓と考えられてきました。今回の調査で、貼石や石槨構築時の梃子穴が見つかり、飛鳥地方の王陵と共通する構築技術が明らかになりました。貼石は石槨材と同じ二上山の凝灰岩製で、原位置を保っていませんでしたが、墳丘斜面の前面に貼り巡らされていたと考えられます。石槨正面の左右側壁の下端には石材を構築する時に使用されたと思われる梃子穴が残っていました。同様の梃子穴は高松塚古墳、マルコ山古墳、キトラ古墳でも見つかっているそうです。墳丘は二段築成で、下段の裾が不明確ですが、版築で盛り土されていました。いずれも終末期の王族の古墳に共通する築造技術であり、古墳の被葬者が身分の高い王族である可能性が高くなりました。

墳丘斜面に凝灰岩の貼石を発見

石槨正面埋まっていた石槨前の敷石検出

調査前の姿

左右側壁の下端に梃子穴が残ってました

石槨前に置かれていた閉塞石の破片

墳丘下段の版築層


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