首長墓の系譜を物語る埴輪棺の発見


■京都府向日市寺戸町「国史跡・五塚原古墳第8次」

 2016年10月15日 現地説明会/向日市教育委員会、公益財団法人向日市埋蔵文化財センター

 五塚原古墳の第8次学術調査が行われ、後円部に二本のトレンチが設定されました。その結果、第2調査区から三段築成の斜面とテラスに葺石が良好に残っていました。葺石はかなり小さい礫で、基底部の平坦面にも幅2mで礫敷が施されていました。第1調査区では四世紀中頃の埴輪棺と石槨を検出しました。五塚原古墳では埴輪は存在していないので、棺に転用された埴輪は、近くの妙見山古墳(すでに消滅)から持ち込まれた朝顔形埴輪と考えられます。妙見山古墳の朝顔形埴輪は頚部の突帯が屈曲点から少し下がった位置にあるという特徴があり、今回出土した埴輪棺にも同じ特徴がありました。また、石槨の石材はすぐそばの葺石を抜き取って構築していました。今回の発見により、三世紀中頃の五塚原古墳と四世紀中頃の妙見山古墳の被葬者が同族関係であったことが想定できます。

後円部第2調査区、三段築成が

第2調査区、最下段と基底平坦面の葺石

第1調査区、埴輪棺と石槨

埴輪棺の頚部の破片、突帯に特徴がある


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