京都府亀岡市東部の古墳


保津車塚古墳(案察使1号墳)

 亀岡市保津町案察使の農地にかなり削られた墳丘が残っています。2001年の国営農地再編整備事業に伴う調査で、全長34m、後円部径26.6mの前方後円墳と判明しました。さらに周囲に二重周濠が巡り、東側には陸橋も設けられていました。葺石はありますが、土製埴輪はまったく出土せず、石見型の木製品が木の埴輪として立てられていたと思われます。

出土した石見型木製品

検出された二重周濠

国分古墳群

 亀岡市千歳町国分、史跡丹波国分寺跡の東400mの農地に国分1号墳があり、その東側の山林内に22基が分布。また、国営農地再編整備事業に伴う調査で、1号墳周辺の農地下から埋もれた古墳37基が発見されました。1号墳は墳丘は流失し、横穴式石室の石組みが露出しています。1号墳そばから発見された61号墳は横穴式石室の最下段の石列と床面が検出されました。全長7.6m、玄室長3.4m、幅1.5m、羨道幅1.2mの両袖式で、玄室には敷石が良好に残っていました。須恵器や馬具、耳環が出土し、六世紀後半の築造で、七世紀前半まで追葬されていましたと見られます。すぐそばにある62号墳は1.2m×0.5mの小石室で、棺台が残っていました。

1号墳、石材露出

61号墳

61号墳玄室奧から

62号墳

 1号墳の西側では、八角形墳が見つかっています。一辺6mで、周囲には石列が巡り、主体部は長さ9m、幅2mの横穴式石室で、基底部のみ残っていました。銀装飾の鉄剣や木棺の釘、須恵器が出土しています。他にも多数の横穴式石室が見つかっていますが、いずれも小規模で、上部を削平されていました。

八角形墳

八角形墳石室

その他の横穴式石室1

その他の横穴式石室2

出雲2号墳

 亀岡市千歳町出雲、出雲大神宮の本殿裏の斜面にあります。径11mの円墳で、露出した横穴式石室が開口。全長5m以上、玄室は4m×1.2m×2mの無袖式で、羨道は半壊しています。石材はほとんど自然石に近いです。

石室正面

石室側面、石材がほとんど露出

玄室奥壁、三段積み

石室奧から

中古墳群

 京都府亀岡市千歳町千歳、千歳公民館南側一帯は中遺跡と呼ばれ、2007年度に 国営農地再編整備事業に伴う調査で、農地の下から、削平された方墳ばかり6基が検出されました。1号墳は周濠をもつ一片28mの大型方墳で、裾の葺石が基底石も含め良好に残っていました。墳丘のテラス上には、木製埴輪の立てられていた痕跡があり、そのうち二ヶ所で柱の一部が残っていました。2〜6号墳は、密接した一辺9m以下の方墳で、2号墳の周溝では、蓋がされたままの状態で須恵器が検出されました。現地説明会の時に、参加者の目の前で須恵器の取り上げ実演が行われ、一部蓋が開けられましたが、内部は土砂で埋まっていました。埋葬施設は残念ながらすべて消滅していました。

1号墳、丸い坑の列が木製埴輪の痕跡

1号墳の木製埴輪の痕跡

2号墳、周溝に須恵器が原位置のまま置かれていた

4号墳、奧に2、3、5、6号墳

平野古墳群

 亀岡市千歳町平野、山裾の東光寺の裏から山林に入り、林道を右に行くと、すぐに林道が二方向に分岐しています。この間の緩斜面から、左側の林道を挟んで反対側の緩斜面の広い範囲に分布する大群集墳で、51基の古墳が密集しています。分岐点から、間の山林内に入っていくと、すぐに42号墳があります。径19mの円墳で、天井石の隙間から覗いた内部は保存は良さそうです。となりの41号墳は径16mの円墳で、天井石が露出しています。南側に小円墳の50、37号墳がありますが、37号墳は小さな石室石材が露出しています。

42号墳

42号墳石室内部

41号墳石材露出

37号墳の石材

 ほぼ中央に位置する40号墳は径12mの円墳で、唯一、小さな横穴式石室に入室可能です。全長4.9m以上、幅1mの規模で、内部で方向転換するのも困難です。36、37号墳はともに石材が散乱しています。ここから山側の薮の中に、中央が陥没したマウンドがたくさん分布しています。

40号墳、天井が開口

40号墳石室内部

40号墳石室奧から

36号墳

35号墳

薮の中の32号墳

 一旦、分岐路までもどり、左側の林道を100m進むと、「邦茂王墓←」と書かれた道しるべがあり、そこから左の山林に入ってすぐに17号墳があります。径14mの円墳ですが、墳丘が水路で真っ二つに分断されています。さらに100m先に石柵に囲われた51号墳があり、その背後の緩斜面に計9基の古墳が支群を形成しています。51号墳は戦国時代に臣籍降下した邦茂王の墓として宮内庁が管理していますが、古墳としたら、全然時代が違います。すぐ後ろの8号墳は計11mの円墳で陥没坑に石材が1個露出。12号墳は径11mの円墳、10号墳は径7mの円墳で、中央が陥没しています。13号墳は径15.5mの円墳で、陥没坑に石材が一部残されています。

17号墳、無惨にも分断されている

51号墳、邦茂王墓

8号墳

12号墳

10号墳

13号墳

 14号墳は径12mの円墳で、石材散乱。15号墳は、径12.6mの円墳で、この支群では最も保存の良い横穴式石室が崩壊して露出しています。全長5.4m、玄室長3.7m、幅1.8m、羨道幅0.95mの両袖式と思われます。最も奧にある16号墳は径7mの円墳で、石室の一部が露出しています。13号墳のそばにある9号墳は小さなマウンドがある程度です。

14号墳

15号墳石室正面から

15号墳玄室

16号墳


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