滋賀県大津市春日山古墳群A支群東地区 


 大津市真野の堅田丘陵先端部に広く分布する滋賀県最大の群集墳で、現在230基以上が確認されていますが、過去に破壊されたもの、未発見の物を加えると、総数は250基を越えそうです。尾根ごとに分布のまとまりがあって、古墳の様相が違っており、それぞれ、ABCDEFGIJ支群に分類されています。このうち、E支群が国史跡に指定されています。これまで全体を見学するのは、なかなか困難でしたが、最近古墳群を取り込むように県立春日山公園ができたために、非常に見学し易くなりました。ただし、一般向けに見学しやすく整備されているのは、G-1号墳、I-5号墳の2基だけで、他の古墳を見学するには、古墳検定3級以上が必要です。 【管理人推薦】

 

A支群東地区

 G支群の尾根上の遊歩道を西へ進むと、道が二つに分かれています。この二つの道に挟まれたエリアがA支群の中心部で、古墳が密集しています。A支群全体は、ここから東西方向の尾根上に、細長く46基の古墳が分布しています。石室を見学できる古墳は少ないのですが、奥壁に小型の石材を使用しているのが特徴的です。三叉路から左の道を進むと、すぐ大きな7号墳の墳丘があり、そこから東方向の尾根の先端にある1、2号墳は墳丘のみ。尾根が枝分かれしている位置にある4号墳は横穴式石室が露出。玄室サイズ3.3m×1.18m×1.3mの規模で、羨道、奥壁は崩壊しています。東隣の3号墳は、盗掘坑あり。5、6号墳はともに石材散乱。7号墳は、最初の三叉路から左に分岐した道沿いにある径18mの大きな円墳で、南に横穴式石室の玄室奧側が残っています。玄室幅1.33mです。

A-4号墳石室正面

A-4号墳玄室

A-5号墳

A-6号墳

A-7号墳石室

A-7号墳玄室内部

 7号墳の東隣りの8号墳は石室の一部が露出。平面形は2.1m×1.05mの大きさです。7号墳南側の9号墳は、石室が南に開口。天井石が1個のみ残った玄室は2.7m×1.2mの大きさです。西となりの40号墳は石材散乱。道沿いにある隣の11号墳は天井石を失った石室の一部が露出しています。7号墳周辺には他に35〜39、41号墳がありますが、いずれも落ち葉に埋もれた小さなマウンドが残る程度です。最初の三叉路に戻ると、北側に墳丘を道で削られた28号墳があり、天井石が1個露出しています。

A-8号墳

A-9号墳

A-11号墳

A-28号墳

 三叉路から、いよいよ中央の古墳密集ゾーンに突入。小円墳の43号墳の隣りに、15号墳が鎮座。径16mの円墳で、石室は天井部が開口。玄室は3.64m×2.1m×2.54m、羨道は3.02m×0.82m×1.21mの右片袖式で、窮隆式の石室が完存しています。南隣の14号墳は、小円墳で、盗掘坑に一部石材が残っています。その南側の13号墳は径18mの円墳で、石室の羨道側と奥壁側がどちらも開口しています。玄室は3.48m×1.65m×2.05m、羨道は2.4m×0.95m×1.22mの右片袖式です。

A-15号墳

A-15号墳玄室奥壁

A-15号墳玄室奧から

A-14号墳

A-13号墳、玄室奧側から

A-13号墳、羨道から奧方向

 13号墳の西に16号墳があります。石室前に大きな盗掘坑が開けられていますが、入口は現在ほとんど埋まっています。玄室サイズは4.15m×1.57m×1.92m、羨道は1.30m×0.92m×0.85mの右片袖式ですが、隙間からの画像を見ると、石室はかなり崩れていそうな感じです。16号墳の東に接して小円墳の42号墳があります。13号墳の南側にある23号墳は石材が露出。16号墳の隣の17、18号墳はともに径12mほどの円墳。19号墳は、石室の基底部が露出しています。

A-16号墳

A-16号墳石室内部

A-23号墳

A-19号墳


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