滋賀県大津市春日山古墳群C支群西地区 


 大津市真野の堅田丘陵先端部に広く分布する滋賀県最大の群集墳で、現在230基以上が確認されていますが、過去に破壊されたもの、未発見の物を加えると、総数は250基を越えそうです。尾根ごとに分布のまとまりがあって、古墳の様相が違っており、それぞれ、ABCDEFGIJ支群に分類されています。このうち、E支群が国史跡に指定されています。これまで全体を見学するのは、なかなか困難でしたが、最近古墳群を取り込むように県立春日山公園ができたために、非常に見学し易くなりました。ただし、一般向けに見学しやすく整備されているのは、G-1号墳、I-5号墳の2基だけで、他の古墳を見学するには、古墳検定3級以上が必要です。 【管理人推薦】

 

C支群西地区

 C支群は、B支群1号墳から谷間を隔てた東の丘陵上にありますが、アプローチするには、春日山公園のビオトープ池から谷間の奧に進むと小屋があり、その背後の丘陵上に古墳が密集しています。47基が確認されていて、丘陵毎にさらに4つの小支群+αに分けられます。保存状態の良い石室はB支群よりは少ないですが、完存する大型の石室がいくつかあり、開口部も比較的広いので見学しやすいのが特徴です。50号墳を中心とした小支群から谷間を挟んだ西のやや大きな丘陵がC支群の中核となる小支群で14基の古墳が密集しています。北端にある52号墳は、池のほとりの斜面に石材が露出、この先はB支群に繋がります。52号墳の南に23号墳があり、横穴式石室が完存しています。玄室は3.52m×1.5m×2.28m、羨道は1.24m×1.1m×0.4mの右片袖式ですが、開口部は狭く入室は困難です。

C-52号墳

C-23号墳

C-23号墳玄室奥壁

C-23号墳奧から

 23号墳の背後にある24、25号墳は石材が一部露出。26号墳は小円墳で、中央が陥没しています。26号墳の上方にある27号墳は径10mの円墳で、横穴式石室の玄室側が開口しています。玄室サイズ3.1m×0.95m×1.3mで、羨道部は埋まっています。

C-24号墳

C-25号墳

C-27号墳、玄室奥壁側が開口

C-27号墳、玄室奥から

 27号墳の南、小支群のほぼ中央に28号墳があり、大型の横穴式石室が完存しています。径14mの円墳で、隣接する30、33号墳の墳丘裾を削って築かれ、周溝も残っています。石室サイズは玄室が4.15m×1.34m×2.3m、羨道が2.71m×0.85m×1.62mの右片袖式で、極端に縦長の構造です。小さな石材を高く積み上げた奥壁の石の組合せが見事です。

C-28号墳石室正面

C-28号墳羨道

C-28号墳玄室奥壁

C-28号墳奧から

 28号墳の西、最高所にある33号墳は径20mの大きな円墳ですが、墳丘は大きく変形し、巨大な天井石が1個露出しています。南に隣接する30号墳は、大きな陥没坑に側壁の一部だけが残っています。さらに南にある37号墳は、玄室の天井部が開口していますが、石室はほぼ完存しています。玄室は2.58m×1.28m×1.8m、羨道は1.72m×0.83m×0.76mの右片袖式で、持ち送りの急な小型の石室です。東にある49号墳は、陥没坑のある小さな円墳、その南に隣接する34号墳は、径19mの円墳で、墳頂が破壊され、玄室奧側が露出しています。資料には、石室に関する記載がないので、最近破壊されたのかも知れません。

C-33号墳の巨大な石材

C-30号墳

C-37号墳石室正面

C-37号墳、開口する玄室天井部

C-37号墳、玄室奥壁

C-34号墳、玄室奧が開口

C-34号墳、玄室奧から

C-34号墳、石室正面

 34号墳の東にある35号墳は、墳丘、石室ともに完存しています。径12mの円墳で、玄室サイズ4.24m×1.7m×2.2m、羨道は1.5m×0.9m×1.2mの右片袖式で、天井石は四枚です。

C-35号墳石室正面

C-35号墳羨道

C-35号墳玄室奥壁

C-35号墳奧から

 35号墳の東の丘陵先端にある22号墳は石室の奥壁側が破壊され、開口しています。玄室は2.5m×1.25m×1.9m、羨道幅1.1mの右片袖式で、かなり土砂が流入しています。34号墳の南に隣接する46号墳は、径10.5mの円墳で、石材が散乱しています。

C-22号墳、奥壁(左)側が開口

C-22号墳奧から

C-46号墳、見上げ石か?


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