奈良県香芝市・北今市古墳群
不揃いの古墳たち、端材利用のエコ古墳群
●奈良県香芝市北今市三丁目 北今市古墳群
●2005年9月4日 現地説明会/奈良県立橿原考古学研究所
中和幹線予定地に存在する北今市古墳群が建設に先だって調査されました。低い丘陵上に位置する3基からなる後期の古墳群です。1号墳→3号墳→2号墳の順で六世紀後半〜七世紀初めに連続して築かれたと考えられますが、墳丘規模、埋葬施設とも異なっており、墓制の変遷が見て取れます。
1号墳は径20mの円墳。主体部は南南東に開口した横穴式石室で小型の石材で築かれた全長11m、玄室長5m、幅1.6m、高さ2.8m、羨道長6m、幅0.9mの両袖式で羨道の前には墓道があり、排水溝が設けられていました。天井部は失われていましたが、玄室内に凝灰岩製の組合せ式家形石棺が2つ南北に並んで納められていました。蓋石は破壊されていましたが、身はほぼ完存。削った跡が良く残っています。鉄刀、金銅製単鳳環頭、馬具破片、多量の須恵期類が出土しました。墳丘北西裾から年代の古い円筒埴輪棺が出土し、既存の古墳を破壊して築造された可能性があります。
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2号墳は1辺15mの方墳で、3基中、最も新しく、凝灰岩製の組合せ式家形石棺を2基直葬していました。北棺はすでに破壊されていましたが、南棺は未盗掘で完存していました。蓋石は3枚からなりますが、形状が不揃いで、石材を寄せ集めて造られた印象です。熟年男性と4〜5歳児の2体分の人骨が遺存していました。
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3号墳は2号墳と一部周溝を共有する径10mの円墳で、南南西に開口する横穴式石室は小型の石材で築かれた全長4m、幅1.1m、高さ1.5mの規模で、床面に礫を敷き詰め、石室前に墓道が続いています。盗掘のため、遺物はほとんど残って居ませんでした。
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