群馬県前橋市西部の古墳


王山古墳

 市史跡。前橋市大渡町の大渡町交差点にあり、現在公園として整備されています。六世紀前半、総社古墳群の中では最も初期に築かれたと考えられる全長75.6mの前方後円墳で、後円部の基壇上はすべて川原石で築かれた積み石塚です。まず後円部が築かれ、そのあと前方部が付け足されたことが調査でわかっています。墳丘は保護のため表面に盛り土されていますが、葺石の一部が覆屋の中に展示されています。主体部は自然石乱石積みの横穴式石室ですが、全長16.37m、玄室長4.37m、幅1.63m、羨道長12m、幅0.96m、入口部幅0.62mの両袖式で、全長が16mを越える県内最長クラスなのに、最小幅が、人の幅しかない超狭長石室です。おそらくアスペクト比では日本一でしょう。石室は県内でも受容期にあたるものですが、現在埋め戻されていて、墳丘上に石を並べて、石室の位置を表示しています。

墳丘

葺石の展示

石室の位置表示

総社二子山古墳 【管理人推薦】

 国史跡。前橋市総社町植野368、第六中学校の北の住宅地にあります。全長98m、後円部径49m、前方部が大きく発達した二段築成の前方後円墳で、盾型周濠の痕跡が見られます。前方部、後円部の基壇上にそれぞれ横穴式石室が築かれています。前方部石室は全長8.76m、玄室長4.2m、幅2.1m、高さ2.1m、羨道長4.4m、幅1.65mの両袖式で、川原石を乱石積みし、天井などに巨石を使用しています。玄室手前には疑似マグサ石を架設しています。石室は現在立入禁止になっています。(直前に昇寛さんが入っているのに、なぜ?・・・)後円部石室は全長9.4m、玄室長7m、幅3.5m、綿貫観音山に次ぐ玄室規模で、同じ技巧で築かれています。軽石を削って積み上げ、一部に切組み手法も見られます。天井石は巨石を使用していますが、一部崩落し、現在内部は閉鎖されています。両石室の構造には差がみられ、前方部石室が先に築かれたと考えられてきましたが、最近、築造順が逆との説もあるようです。

墳丘

後円部石室の天井部

前方部石室

前方部石室内部、疑似マグサ石が見える

愛宕山古墳 【管理人推薦】

 国史跡。前橋市総社町総社1762、総社二子山古墳の南東、第六中学校の東隣りにあります。従来円墳とされていましたが、調査の結果一辺56mの方墳とわかりました。周溝が巡り、下段には葺石が残っています。南に開口する大型の横穴式石室は羨道がかなり埋まっていますが、全長9.3m、玄室長6.91m、幅2.94m、高さ2.91mの両袖式で、奥壁と天井石には輝石安山岩の巨石が使用されています。側壁も輝石安山岩を乱石積みし、隙間に榛名山の軽石を詰めています。玄室には主軸と直交する形で凝灰岩製のくり抜き式家形石棺が置かれています。七世紀前半、近くにある二子山古墳の前方部石室と後円部石室の間に築造されたと思われます。

石室正面

玄室

家形石棺、大きな盗掘穴が開いている

奧から玄門部

宝塔山古墳 【管理人特選】

 国史跡。前橋市総社町総社1606、総社領主秋元氏の菩提寺である光厳寺の南隣りにあり、墳頂には歴代領主の墓所があります。墳丘は周囲と墳頂が削られていますが、一辺約50mの二段築成の大型方墳で南側に周溝の痕跡が残ります。基壇上に築かれた横穴式石室は精巧な截石切組積みの複室構造で、全長12.41m、玄室長3.1m、幅3.01m、前室長3.98m、幅1.99m、羨道長4.15m、幅1.91m、羨道の前には台形に開く前庭部があります。玄室はほぼ正方形のプランで、中央に家型石棺が完存しています。脚部に格狭間が切られ、正面左よりには八角形の掘り込みが見られます。随所に切組手法を使用し、玄室や天井の大きな石材は表面を膨らんだように水磨きしています。また、壁面には漆喰を塗った痕跡があります。七世紀中頃、当時の最高の石材加工技術を駆使して築かれた終末期古墳です。

石室正面

手前から、羨道、前室、奥室

奥室の家形石棺

奥室の玄門部

蛇穴山古墳 【管理人推薦】

 国史跡。前橋市総社町総社1587、総社幼稚園の隣りにあります。宝塔山古墳のすぐそばです。基壇のある39m×43mの大型方墳で、周溝が巡っていました。截石切組積みの横穴式石室は羨道がなく、台形状の前庭部から、石敷きのある方形の空間を挟んで、いきなり玄門となります。玄門は精巧かつ複雑な造りで、扉をはめ込むための溝や、冠材の格狭間状のくり抜き、柱状の浮彫が見られます。玄室は長さ3m、幅2.61m、高さ1.8mの規模で、各壁、天井はすべて1枚石、各石は切り組んで組み合わせています。かつては漆喰が塗られていたようです。七世紀末、宝塔山古墳の次に築かれたと考えられ、当時の石材加工技術の粋を集めて築かれた県内では最終末期の古墳です。

石室正面

玄室奥壁

奧から玄門部

玄門向かって右側の石組み


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