愛知県豊橋市・馬越長火塚古墳

穂国造の墓にキラリと光る独特の構築法


●愛知県豊橋市石巻本町紺屋谷 県史跡・馬越長火塚古墳

●2007年3月4日 現地説明会/豊橋市美術博物館

 馬越長火塚古墳は全長65m以上の六世紀後半の前方後円墳で、前庭部を含め全長17mの愛知県最大の複室構造の横穴式石室が良好に保存されています。過去に金銅装馬具などが出土し、穂国(旧東三河地方)の国造の墓ではないかといわれています。古墳の基礎データを得るため3年計画(2005〜2007年)で確認調査が行われていて、今回が最終調査になります。石室は床面を掘り下げた結果、羨道、前室、後室でそれぞれ異なる構造が明らかになりました。羨道は床面に大小の石が混在しており、敷石に閉塞石が落ち込んでいる状態でした。前室は敷石が全くなく、後室は大きさの揃った敷石がばらまくように敷かれていました。後室右側壁に沿って、一部整然と石が並んでいる箇所があり、棺台ではないかと思われます。墳丘のトレンチ調査では、全体的に葺石の保存状態が良く、くびれ部では階段状に石が並んでいます。また、石室の開口する南側を良く見せるよう、に意識しています。墳丘の周囲に基壇状遺構があり、そこにも葺石が敷かれています。また、葺石は固定せず、並べるように置かれていました。畿内では前方後円墳が終焉を迎える時期に、ひと味違う古墳を築いた穂国の国造のプライドが垣間みえます。

 

羨道部の床面

玄室の床面

南側くびれ部の葺石、階段状に積まれている

前方部の隅の葺石、コーナーは左の道路下のようだ。


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