滋賀県野洲市妙光寺古墳群


 野洲市妙光寺、妙光寺山の南麓と山頂に展開する群集墳で、位置的に独立した宗泉寺支群・三上神社支群・東光寺支群・山頂支群の4支群、約70基で構成されています。

宗泉寺支群

 宗泉寺周辺に分布し、15基からなります。本堂の西の方に1号墳があり、横穴式石室の奧壁付近だけが残っています。2.9m×1.6mほどの小石室です。ほかの古墳は、鹿避柵に阻まれて探索が困難ですが、本堂の東側の柵の向こうの斜面に1基発見。ですが、遺跡地図には、この位置に古墳はありません。とりあえず仮称15号墳としておきますが、石室前は崩落していますが、玄室は完存。3m×1.5m×1.5mほどです。

1号墳

1号墳奥壁

仮称15号墳、崖っぷち状態

15号墳玄室奥壁

三上神社支群

 宗泉寺から東へ行くと大きなため池があり、その北側に三上神社があります。三上神社支群は、神社周辺の山麓一帯にあり、30基からなります。ため池の土手の道を東側からまわりこむと、道が神社へ分岐する(直進すると東光寺支群へ)位置に1号墳があり、巨大な石室が開口しています。径12mの円墳ですが、墳丘はかなり流失。玄室推定長5m、幅2.1m、高さ2.6mの大きな玄室の奥側が残っていますが、前側、羨道部は崩壊して、天井石が落下しています。

1号墳、手前に巨大な天井石が落下

1号墳開口部正面

1号墳、玄室奥壁

1号墳、羨道部を上より

 1号墳から三上神社にかけて道沿いに古墳が並んでいます。1号墳斜め後ろの4号墳は石材が1個露出。隣の6号墳は天井石が露出し、隙間から内部を窺うことができます。隣接する7号墳は、破壊された石室の奥壁、側壁の一部が残存しています。斜め前にある小墳丘はおそらく破壊された8号墳でしょう。少し西にある9号墳は陥没坑の手前に石材が散乱しています。西隣りにある仮称10号墳は、墳丘が半分削られ、石材が1個崖面に露出しています。

4号墳

6号墳、天井石が露出

6号墳、石室内部

7号墳、玄室奥壁付近

9号墳

仮称10号墳

 三上神社の背後の山林中にも古墳がいくつか群集していますが、急斜面のため、墳丘がかなり流失していて、ちょっと探すのが困難です。ほぼ中央に位置する16号墳も、墳丘が低く、羊歯に覆われているので開口部がわかりにくいのですが横穴式石室が完存。玄室サイズ2.75m×1.2m×1.75m、羨道幅1mの両袖式で、小型の石材を使用しています。斜面下の19号墳は石材が1個露出。東側の13号墳は石室の奥壁付近が残存、玄室サイズは1.5m以上×1.2m×1.23mです。さらに東の12号墳は露出した石材の隙間から石室内をわずかに覗くことができます。11号墳は天井石が1個露出しています。

16号墳石室開口部

16号墳玄室奥壁

16号墳玄室奧から

19号墳

13号墳石室開口部

13号墳玄室奥壁

12号墳石室内部

11号墳

 三上神社からため池沿いに西へ行くと、道沿いに破壊された22、23号墳の所在が赤いマークで示されています。その先に、道からため池に突き出す形で保存された24号墳があります。池側に石室が開口。玄室長4.3m、幅1.9m、高さ2.45mの右片袖式で、羨道は埋まっており、前壁が開口しています。

24号墳

24号墳石室正面

24号墳玄室奥壁

24号墳奧から

 さらに西へ進み、ため池の西側の土手を越えると、山林のフェンス沿いの山裾(このあたりは中世の豪族居館跡)にいくつか古墳がありますが、明確に分かるのは2基です。東端の25号墳は、玄室の奥側のみが残存しています。玄室長2.15m以上、幅1.5m、高さ1.75mです。その西に27号墳の石材が1個だけ露出しています。

25号墳

25号墳玄室奥壁

27号墳

東光寺支群 【管理人推薦】

 三上神社支群1号墳の三叉路から林道を登っていくと、谷間の奧の終点に出世不動尊があります。石段を登り詰めたところで左の山道を登っていくと、11号墳があります。巨大な天井石が露出し、玄室前側が開口していますが石室内部はほぼ完存。玄室は3.5m×1.75m×1.5m以上、羨道幅1mの両袖式で、羨道と床面の一部が埋まっています。内部は広い空間になっていて、祠があり、信仰の場となっていたようです。南西の林の中へ下っていくと、全壊状態の13号墳があり、石室の一部が残存しています。となりに14号墳の石材が露出しています。

11号墳

11号墳玄室奥壁

11号墳玄室奧から

13号墳

14号墳

 不動尊手前の駐車スペースから少し登ったところに10号墳があります。11号墳との中間くらいです。墳丘はかなり流失し、横穴式石室が露出。古墳群中最大にして、最も保存状態の良い石室です。玄室長5.1m、幅2.3m、高さ2.15m、羨道長3.8m、幅1.55m、高さ0.85mの堂々たる両袖式で、天井石も巨大です。羨道の低さからすると、床面が少し埋まっているかも知れません。

10号墳石室正面

10号墳、前壁も開口

10号墳玄室奥壁

10号墳奧から


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