島根県出雲市・中村1号墳

奇跡の未盗掘石室を限定公開、気分は被葬者デス。


島根県出雲市(旧平田市)国富町 中村1号墳

2007年6月3日 人数限定市民現地説明会/出雲市文化財課

 中村1号墳は2002年8月に道路工事中に偶然発見された複室構造の出雲でも有数の大型石室で、副葬品の内容からも、首長墓クラスの墓であり、しかも内部は未盗掘で、埋葬当時の姿が完璧に保存されていることがわかりました。今回、石室内部に一度に一人しか入れないため、限定100人を対象に申し込み方式で市民現地説明会が開催されました。

 墳丘はかなり破壊されていて不明確ですが、径30m以上の円墳か、前方後円墳と思われます。横穴式石室は全長9.5m以上の複室構造で、後室長3.9m、幅1.8m、高さ1.9m、前室長1.8m、幅1.3m、高さ1.7m、羨道幅0.9m、高さ1.5m。閉塞石が完全に残っていて、積み方から、3回の埋葬が行われたと見られます。後室には組合せ式箱式石棺(2m×1m)が側壁に沿って置かれ、その前には灯明台が設けられています。扉石・蓋石が内側に倒れ込んでいて、その下はまだ未調査です。前室には蓋石のない石棺(1.9m×1m)があり、小口側板には角を丸くする加工が施されています。前・玄室床面には円礫が敷かれていますが、2回目の埋葬時に敷かれたらしく、初回の埋葬時の床面はさらに下に埋もれている可能性があります。前室から1本、後室から2本の装飾された大刀が出土、うち二本は立てられた状態のままでした。他に馬具二式分、鉄鏃、ガラス玉、須恵器が多数出土しています。

 未盗掘の首長墓の石室内部を、閉塞されたままの状態で内部から見るなんてことは一生のうち一度あるかないかでしょうね、まるで被葬者になった気分でした。残念ながら、石室内部は撮影禁止のため、画像はこちらのHPでご覧ください↓。発見時の様子はこちら

>>http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1174879769981&SiteID=0&ParentGenre=1000000000079

古墳の現状、左の山側に入口、プレハブ小屋内に石室天井の開口部がある。古墳の上を通る道路工事で天井石が落下し、石室発見。

見学は天井開口部から、ヘルメット着用で一人ずつ(2分間限定)玄門部に降りていき、その位置から動かず(動けず?)見学。

石室入口、閉塞石がそのまま残っている

前室に立てかけられたまま出土した大刀

前室にあった馬具

上の写真の大刀、銀線がほどけたまま残る


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