愛知県西尾市の古墳


最明寺山古墳群 【市史跡】

西尾市の東端、幸田町と岡崎市に境を接する位置に羽角山があります。西側の麓を中心に100基ほどの群集墳が存在し、最明寺山古墳群と呼ばれています。牧場やデンソー工場によってかなりの数が消滅しましたが、保存状態の良い支群も多く、見学しやすい古墳を中心に紹介します。

 ■羽根山支群

 羽角山の北端の斜面に12基存在。新幹線のトンネルのすぐ上にある1、2号墳はかなり背面カットをした円墳で石室が少し開口しています。

1号墳

1号墳石室内部

2号墳

2号墳石室内部

 ■弘法山支群

 羽根山支群から南に斜面をのぼった平坦部に円墳が10基残っています。麓の最明寺から登り道があります。1基の石室が開口。また、最明寺の巡礼道沿いに石仏堂として再利用されているのが1基ありますが、かなり改変されているようです。

尾根上に唯一開口する石室

左の石室内部

石室羨道

その他の古墳

 ■薬師山支群

 最明寺をはさんで南側の尾根先端部に11基の円墳が集中しています。ほとんど盗掘されており、一部に石材が散在しています。

 

 ■三ノ山古墳 【管理人推薦】

 薬師山支群のある尾根の一つ南の尾根南斜面に単独で存在する円墳で、石室規模でも群中最大の盟主墳です。石室全長6.9m、玄室と羨道の境は板石で区切られています。

 ■住崎1号墳 

 デンソー西尾製作所の敷地内、教育センターの北側に石室天井部を復元して保存されています。径15mの円墳で全長8mの横穴式石室は柱石で区切られた複室構造です。

 

 ■高根古墳群

 上記住崎1号墳の隣りに、消滅した高根支群のうち1、3号墳が移築されています。1号墳は径10mの円墳で、裾には列石が巡っていました。主体部は全長4.7mの横穴式石室で、玄室と羨道は間仕切で区画していました。2号墳は1号墳に隣接していた小円墳で、主体部は全長3mの横穴式石室でしたがほとんど崩壊していました。

1号墳、松の木が邪魔です。

3号墳

 ■五釜1号墳

 消滅した五釜支群のうち、1号墳が西2kmの三和小学校校庭に移築されています。径15mほどの円墳で横穴式石室は全長8.4m、柱石で仕切られた複室構造で天井石(8枚)は奥室のみ残っていました。


善光寺沢南古墳

 岡山丘陵の南西部にあり、2016年に発掘調査が行われました。三ヶ所のトレンチを調査した結果、墳丘一帯に多数の中世墓が造られていて、墳丘の裾が不明確な部分が多く、墳形を確定することはできませんでした。しかし、測量図から判断すると南北方向で30m以上の方墳の可能性が高いそうです。

第1トレンチ、墳丘裾検出

第2トレンチ、中世の集石墓検出

第3トレンチ、中世墓検出


カッチュウ塚古墳

 平原町の北へ延びてきた尾根先端の梅林の中にあります。墳丘はかなり崩壊しており、石室の天井石が露出しています。

 


舟向山古墳

 西尾東高校の東、竜宮橋西交差点から北の住宅街を少し入ったところの駐車場にあります。墳丘が半分削られて断面見本状態となっており、石材が崖に露出しています。石室は上部のへこんだところに開口していますが、かなり埋まっています。


宝冠塚古墳

 西尾市の南端、刈宿町にありましたが、宅地開発により、現在は近くの寺津小学校校舎裏に移築されています。一辺12mの方墳で、横穴式石室は全長8.5m、奥室4m、前室3.5mの複室構造で、奥室は胴張り状です。石材は佐久島産の泥岩が使用され、七世紀前半の築造です。


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