滋賀県東近江市北部(旧能登川町・五個荘町)の古墳


猪子山古墳群(山面古墳群) 【管理人推薦】

 能登川町猪子。猪子山古墳群は、きぬがさ山一帯に100基以上分布する後期の古墳群の総称で、佐野山・善勝寺裏山・山面・西山・北山・望湖・安楽寺の各古墳群で構成されています。そのうち、もっとも見学しやすいのが能登川病院裏の北側斜面に分布する山面古墳群です。西の神社のところから登り道があり、登り始めると、すぐ道沿いに23号墳があります。径14mの円墳で、石室が東に開口、全長約9m、玄室は4.4m×2m×2.3m、羨道は4.6m×1.4mの左片袖式で玄室は完存し、床面には石が敷き詰められています。羨道は半壊状態ですが、左袖石を兼ねた羨道の左側壁は自然石に近い巨石を使用しています。群中では最大の玄室です。

23号墳石室正面(2003年の発掘調査時)

23号墳玄室奥壁

23号墳奧から

23号墳羨道左側壁

 山道を進むと、三叉路の山側に15号墳があります。墳丘は、谷側が道路のため崩壊気味ですが、石室は完存。全長8m、玄室は4.8m×1.6m×2m以上、羨道は2.5m×1m×1.7mの両袖式で、東向きに開口しています。

15号墳全景

15号墳石室正面

15号墳玄室奥壁

15号墳奧から

 さらに道を進むと、道沿いに14号墳があります。西向きに開口する石室は、玄室サイズ3.4m×2.3m×2.7m、羨道は7m×1.3m×1.7mの両袖式です。外観からはわかりませんが、背の高い玄室が完存しています。

14号墳石室正面

14号墳羨道

14号墳玄室奥壁

14号墳奧から

 14号墳から急斜面の雑木林をまっすぐ下っていくと、途中石材の露出した小古墳が3基あり、その先に石室の露出した54号墳?があります。薮に覆われ、奥壁、羨道付近が崩壊しています。

名称不明、石材露出

名称不明、石材露出

名称不明、石材露出

54号墳?

54号墳?玄室奥壁

54号墳?奧から入口方向

 さらに斜面を下った山裾に30、36、52号墳が固まっています。2003年度に調査された30号墳は径14mの円墳で、石室は全長10.5m、玄室は3.2m×2.4m×2.8m、羨道は7.3m××1.5m×1.8mの両袖式で、西向きに開口。長大な羨道と高い玄室天井を持つ大型石室です。石材の積み方も見事、六世紀末の築造です。となりにある52号墳は、径13mの円墳で、横穴式石室は30号墳とは正反対の東向きに開口。全長7m、玄室は3.5m×1.8m×2.1m、羨道は3.5m×1.3m×1.2mの両袖式で、羨道は崩壊しています。奥壁の一部が抜かれていますが、玄室の保存状態は良好で、床面には敷石が完存しています。六世紀後半の築造です。36号墳は、墳丘が完存しています。

30号墳石室正面

30号墳羨道

30号墳玄室奥壁

30号墳奧から羨道方向

52号墳、羨道は崩壊

52号墳、玄室奥壁

52号墳、玄室奧から

52号墳、玄室床面の敷石(2003年の調査時)

 14号墳から道路を登り切ると、山頂の神社の駐車場があり、その少し手前の道路沿いに7号墳?の天井石が一部露出しています。東向きと思われますが、確実ではありません。隙間から覗くと、石室内部はかなり埋まっています。

7号墳?

7号墳?石室内部

 15号墳前の三叉路へ戻り、反対方向へ登っていくと神社があり、社殿横から北へ下っていく階段の途中に24号墳があります。小型の横穴式石室が露出。前側は崩壊していますが、天井部が開口し、玄室奥壁付近は良く残っています。

24号墳、階段と反対側の東向きに入口

24号墳玄室奥壁

神郷亀塚古墳 

 旧能登川町神郷、乎加神社の裏にあります。2000〜2003年に発掘調査され、三世紀前半築造の最古の前方後方墳と判明しました。全長35.5mで周濠が巡り、主体部は東西に2基の木槨が並んでいました。

墳丘側面

墳丘前方部より

第1主体

第2主体


狐塚古墳群 

 五個荘町川並。きぬがさ山トンネル東側、湖東物流センター前の田圃の中に三基の石室が露出していますが、内部はすべて埋まっています。石室が露出した1号墳は玄室長5m、幅1.8m、2号墳は玄室長3.5m、幅1.7mです。

正瑞寺古墳群  【管理人推薦】

 五個荘町下日吉。きぬがさ山東麓の正瑞寺にあります。本堂裏にある1号墳は径18mの円墳で、滋賀県最大の横穴式石室が完存しています。全長13.4m、玄室長4.7m、幅2.6m、高さ2.5m以上、羨道長8.4m、幅1.4m、高さ1.3m以上の両袖式で、堂々たる巨石墳です。特に玄室天井石は二石からなり、手前の石材は長さ4.5mもあり、おそらくは滋賀県では最大の石材でしょう。すぐそばの2号墳は開口部が狭く入るのは困難です。3号墳は確認できず。

1号墳

1号墳石室羨道

1号墳玄室奥壁

1号墳玄門

2号墳

2号墳石室内部

山の神古墳 

 五個荘町伊野部。箕作山の東の水田中に石室が露出しています。五個荘町の石舞台?石室としては小型ですが、天井石が露出しているので巨大な印象です。側壁の石材も小さめで、玄室長は4mくらいです。

百々矢1号墳 

 五個荘町山本。百々矢神社境内にあります。墳丘はほとんど消失し、天井石が露出しています。古墳群のうち残っているのは1号墳のみ。羨道は埋まっていますが、玄室長3.5mあります。


<ホームへ戻る>

 

inserted by FC2 system