奈良県桜井市・桜井茶臼山古墳

水銀朱で真赤に輝く竪穴式石室を60年ぶりに公開


桜井茶臼山古墳(奈良県桜井市外山) 

 現地説明会2009年10月29〜31日/奈良県立橿原考古学研究所

 国史跡・桜井茶臼山古墳の竪穴式石室が60年ぶりに調査され、公開されました。今回の調査の最大の目的は木棺を取り出して保存処理を行うことで、公開時、すでに木棺は搬出されていました。あらためて調査された埋葬施設は墓坑が11m×4.8m×2.9m、竪穴式石室は6.75m×1.27m×1.6m、側壁は事前に水銀朱を塗布した板石を小口積みし、その上に、埋葬後、水銀朱を塗布した12個の天井石を構架して蓋をしています。床面に板石を敷き詰めた上にコウヤマキ製の木棺を安置していました。今回の調査では、木棺の身の底部分が奇跡的に残っていました。天井石はベンガラを練り込んだ赤い粘土で被覆し、その上に11.7m×9.2mの方形壇を築いて、板石と円礫で化粧し、二重口縁壷を並べていました。方形壇の裾では、今回の調査で丸太垣のような遺構も見つかっています。生きている内にこの石室を見ることができたのは無上の喜びですが、でも、現地説明会資料に「せんとくん」を載せるのはやめてほしい。

 

石室内部

石室側壁

石室南側

石室北側

赤い天井石、右側に被覆粘土が残る

はずされた天井石


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