奈良県明日香村・スズミ古墳群

真弓一帯の渡来系氏族の墓域がさらに広がる


●奈良県明日香村真弓 スズミ古墳群(真弓遺跡群)

●2006年11月25日 明日香村発掘調査報告会/明日香村教育委員会

 明日香村真弓の丘陵地帯の村道新設に伴う調査で、六世紀後半の方墳二基が見つかり、ミニチュア炊飯具が出土したことなどから、この時期に周辺地域で活躍した東漢氏の一族の墓と見られます。1号墳は、一辺10mの方墳で、主体部は南に開口する横穴式石室です。石材がほとんど失われていますが、復元長6.5m以上、玄室長4m、幅2.1mの右片袖式と見られます。出土した鉄釘から木棺2基が埋葬されていたとみられます。頭部にあたる場所からミニチュアの竈や甑などの土器が見つかりました。1号墳の東約10mの同じ尾根筋にある2号墳は、一辺7mの方墳で、主体部は木棺直葬です。棺内から耳環、鉄釘、歯牙が出土しました。墳丘裾や近くから木棺墓が2基見つかっています。谷間を挟んで北側には真弓鑵子塚、乾城古墳など、穹窿式の横穴式石室を持つ古墳や、ミニチュア炊飯具を出土した古墳が多数分布していて、一帯は渡来系氏族の墓域と考えられていましたが、今回の発見で、墓域が真弓の谷間の南側の尾根にも広がっていたことが明らかになりました。

1号墳、尾根先端に位置する方墳

1号墳の横穴式石室、奥壁側

2号墳、左奥に1号墳が見えます

2号墳の木棺直葬跡


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