造出しの埋葬施設、円丘部南東部の祭祀施設、2・3号墳を調査


■奈良県奈良市丸山一丁目1079-239「富雄丸山古墳」

 2023年1月28、29日 現地説明会/奈良市埋蔵文化財調査センター・奈良県立橿原考古学研究所

 

 富雄丸山古墳は四世紀後半に築かれた径109mの日本最大の造出し付き円墳で、2017年度から史跡整備のための調査が行われています。今年度は第6次調査として、造出し、円丘部南東、2、3号墳が調査されました。造出しでは埋葬施設の粘土槨からコウヤマキ製の割竹形木棺を検出。棺を被覆した粘土の上に盾形の銅鏡と大型の蛇行剣が置かれていました。「ダ龍文盾形銅鏡」と命名された盾形銅鏡は64cm×31cmの大きさで上下二ヶ所にダ龍文が円形に施され、その外側に鋸歯文が表現されています。蛇行剣は長さ267cmで、日本最大、最古です。鞘と装具の痕跡も残っていました。これらは過去に類例のない副葬品で、高度な製造技術を伴うものです。

造出しの埋葬施設

 割竹形木棺と蛇行剣(ダミー)の出土位置

ダ龍文盾形銅鏡

ダ龍文盾形銅鏡のX線画像

 円丘の南東部では、二段目の埴輪列と、湧水施設形埴輪を伴う祭祀遺構を検出しました。埴輪は一辺30cmほどの大きさで、内部に水槽らしい埴輪が置かれています。このような祭祀施設も国内最古の例になります。

二段目の円筒埴輪列

祭祀施設、中央に湧水施設形埴輪がある

湧水施設形埴輪、内部に水槽を設置

 2、3号墳も調査された結果、2号墳は横穴式石室を持つ六世紀後半の古墳ですが、となりの3号墳からは埋葬施設が検出できませんでした。また、両者を区画する溝も存在しないことから、これらは2号墳を後円部、3号墳と前方部とする前方後円墳である可能性が高まりました。

2号墳墳丘、過去に調査済み

2号墳の横穴式石室

3号墳、埋葬施設は見つからず


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