鳥取県鳥取市中部の古墳


古郡家1号墳石棺

 鳥取市古郡家字上ノ山の尾根上にある全長90m、後円部形51mの中期の前方後円墳で、因幡では最大級です。1960年に後円部のみ調査され、粘土槨1、箱式石棺2基が検出、銅鏡、装飾品、武器などの豊富な副葬品が出土しました。箱式石棺が現在、県立博物館に移築されています。また、出土品【県指定文化財】も同博物館に展示されています。

県立博物館にある箱式石棺

出土した鉄剣


橋本38号墳 【市史跡】

 

 鳥取市橋本、橋本公民館のある交差点の南東の民家裏にあります。封土はほとんど失われ、横穴式石室がわずかに残っています。玄室中央にくり抜き式家形石棺が安置されています。砂岩製で、身は2.2×1.06×1.15mの大きさ。蓋には左右三個ずつ縄掛突起がついていて、底には切石が敷かれているとされています。石棺内部は精巧に加工されています。

石室正面より

石棺横から、縄掛突起が片側に3個ある

石室奧側より

家形石棺内部、精巧な加工


坊ヶ塚古墳(広岡11号墳) 【管理人推薦】【県史跡】【装飾古墳】

  羨道左側壁の線刻、左から舟、弓を引く人物、不明紋

 鳥取市広岡369、国道29号線バイパス広岡交差点から南へ曲がり、道が登りにかかるところで、川沿いに右へ曲がって150m先の右側の林の中にあります。径13mの円墳で、横穴式石室が開口しています。全長7m以上、玄室長3m、幅2m、高さ2m以上、羨道幅1.5mの右片袖式で、玄室天井は中高式です。玄室奧、左右側壁と羨道左側壁に多数の線刻画が描かれています。羨道左側壁前側の石材に放射状紋、後ろ側の石材に舟、有名な弓を引く人物など。玄室左側壁に放射状紋など、玄室奥壁に船、格子紋など、玄室右側壁に平行線、鳥などが確認できます。しかし、人物以外は不明確です。

石室正面、羨道天井石が落下

羨道

玄室奥壁

玄室奧から

羨道左側壁の放射状紋

羨道左側壁の弓を引く人物

玄室右側壁の鳥?

玄室左側壁の不明紋

玄室奧壁の船?


山ヶ鼻古墳(古海13号墳) 【管理人推薦】【県史跡】

 鳥取市古海、国道29号線バイパス古海交差点の西400mの山裾にNIPPOコーポレーション工場があります。その前の道を西へ進むと、土砂が積まれた谷間があります。その土砂を越えて、北の谷間の山林の中を登っていった中腹斜面にあります。かなりわかりにくく、危険なので、このルートはあまりお奨めできません。墳丘はほとんど失われていますが11m×13mの方墳と考えられています。巨石を使用した全長5.1mの横穴式石室(横口式石槨)が露出。玄室は、天井と壁をくり抜いた凝灰岩の巨石を床石の上に伏せて置き、その前に巨石で羨道を付加しています。鬼のまな板・雪隠古墳と似ていて、畿内との関係をうかがわせますが、出土遺物はまったく伝わっていません。七世紀中頃の見事な終末期古墳です。

石室正面

羨道から玄門、両袖式に見えますが・・

玄室奥壁、完全なくり抜き加工

玄室奧から、一応右片袖式

側面から

天井石の加工


古海古墳群

 鳥取市古海、山ヶ鼻古墳のある丘陵上には、全長67mの前方後方墳である36号墳を初めとする古海古墳群が分布しています。しかし、標識など一切ないので、探索するのは困難です。

墳頂が陥没した古墳

尾根上の墳丘


布勢古墳 【国史跡】

 鳥取市布勢566。湖山池東岸、鳥取緑風高校の南の丘陵上に築かれた全長60m、後円部径30mの前方後円墳で、段築、周濠はなく、北側くびれ部に造出しがつきます。未調査のため埋葬施設は不明ですが、後円部墳頂には盗掘坑があります。採集された埴輪片などから六世紀前半の築造と推定されます。

日吉神社の北側丘陵上にある

前方部から後円部


倭文(しとり)古墳群

 

 鳥取市倭文、倭文簡易郵便局の南の丘陵先端に築かれた古墳群で、中国横断自動車道姫路鳥取線の事前調査で、新規発見された2〜9号墳が調査されています。2〜5号墳は長方形墳、6〜7号墳は円墳で、尾根筋を整形した上に盛り土で墳丘を構築しています。主体部は岩盤を掘り込んだ土壙内に木棺を納めていて、7号墳は2基、5号墳は5基、ほかは1基ずつ検出されました。6号墳からは短甲が完全な形で出土しました。

2号墳、主体部

3号墳、主体部

4号墳、主体部

5号墳、主体部

6号墳

7号墳


松原古墳群

  尾根上に連なる古墳群

 鳥取市松原の丘陵上に築かれた古墳群で、中国横断自動車道姫路鳥取線の工事に伴う2008、2009年の調査で合計21基の古墳が調査されました。うち、2008年の調査では、後期の円墳8、方墳2基が確認されました。主体部はほとんどが木棺直葬で、副葬品は土器以外はほとんど出て居ません。

最も下の20号墳、半分のみ調査

最大の21号墳の木棺直葬跡

29号墳

22号墳

23号墳

27号墳

24号墳

25号墳

 松原古墳群の中で、最後に築かれた28号墳のみが横穴式石室を主体部としています。全長7.3m、玄室は3.3m×1.5m、羨道は4m×1.1mの右片袖式で、天井を失っていましたが、閉塞石は残っています。周辺では最大の石室ですが、すでに盗掘されていて、須恵器少々と耳環が出土した程度です。

28号墳、石室正面、閉塞石が残っている

28号墳、玄室

28号墳、玄室奧から


<ホームへ戻る>

inserted by FC2 system