宮城県涌谷町


追戸横穴墓群 【管理人推薦】【町史跡】

 

 涌谷町小塚字追戸沢二、涌谷高校の東から、北の丘陵上へ登っていった南斜面にあり、周辺は追戸横穴歴史公園として整備されています。現状でA支群の9基の横穴墓が見学できますが、林の中の未整備エリアには、さらに多くの横穴墓があります。七世紀末〜九世紀の築造で、特に1、2号墓は全国的に見ても大型の横穴墓で、装飾が見られます。また、5号墓にも装飾があります。


 A1号墓 【装飾古墳】

 

 全長10.94m、玄室長3.84m、幅3.64m、高さ2.24mの大型横穴墓で、前庭部も含めると全長16.84mにもなります。玄室は切妻屋根形で、コの字に棺台が並んでいます。床には排水溝が設けられ、側壁には柱列状の表現がされています。玄室の側壁には、線刻らしきものがいくつか見られますが、内容はよくわかりません。天井にも紋様があるらしいですが、不明です。全体的にかなり破壊されています。

横穴墓入口

羨道から玄門

玄室奥壁、棺台がコの字に3基並ぶ

玄室奧から

羨道側壁の柱列状の表現

玄室側壁の線刻


 A2号墓 【装飾古墳】

 

 A1号墓のとなりの丘陵先端部にあります。全長9.86m、玄室長3.26m、幅3.06m、高さ1.92m、前庭部も含めると全長18.06mのこちらもなかなかの大型横穴墓です。玄室は同様に切妻屋根形で、コの字に棺台が並んでいます。装飾は玄室の棺台や奥壁の下部、玄門の仕切石上部が赤く彩色されています。また、羨道の側壁や天井には1号墓同様、ノミで柱状の表現がされていて、さらに赤色で格子状に彩色されています。全体的に保存状態は良好ですが、残念ながら保存施設のガラス窓越しに見るため、装飾は肉眼ではかなり見づらい状況です。

横穴墓入口、右奧がA1号墓

羨道から玄門、柱状の加工が美しい

玄室仕切石上部、奥壁下部などを赤で彩色


 A3〜9号墓

 

 A2号墓から、尾根の反対側へ回ると、A3〜9号墓が並んでいます。いずれも長さ4〜5mの小型の横穴墓で、玄室はドーム状とアーチ状に別れています。このうち5号墓【装飾古墳】は羨道の左側壁に十字形の線刻があります。また、9号墓は唯一2基の棺台を備えています。

A3号墓

A4号墓

A5号墓

A5号墓、羨道側壁の十字形紋

右からA6〜8号墓

A8号墓

A9号墓

A9号墓、玄室内部の棺台


 C支群

 A9号墓から、西の林の中へ入っていくと、未整備のC支群が続いています。12基の横穴墓が並んでいますが、A支群と連続しているので、同じ支群と見て良いと思います。

C12号墓、入口はほとんど埋まる

C12号墓玄室

下段がC11号墓、上段がC10号墓


<ホームへ戻る>

 

inserted by FC2 system