熊本県山鹿市鹿央町岩原古墳群


岩原古墳群 【国史跡】

 

 山鹿市鹿央町岩原、熊本県立装飾古墳館のある肥後古代の森・鹿央地区にあり、双子塚(岩原)古墳を中心に前方後円墳1、円墳8基からなります。現在、見学しやすく公園として整備されています。また、熊本市植木町に存在した装飾古墳の横山古墳も、公園内に移築復元されています。美しい姿を見せている双子塚古墳は、全長107m、後円部径57mの前方後円墳で、三段築成、埴輪、葺石があり、周溝が巡ります。

 

墳丘に残る葺石

墳丘上から見た馬不向古墳群、右奧に装飾古墳館

 装飾古墳館から北へ向かい、最所に遭遇する大きな円墳が寒原1号墳です。径20mほどの円墳で、周溝が巡ります。詳細不明。すぐ北東にある2号墳は農道工事中に発見され、舟形石棺が出土しました。墳丘はほとんど残って居ませんが、周溝を持つ径15mほどの円墳と思われます。

寒原1号墳

1号墳から双子塚方向、右の方に2号墳の残骸がある

 国史跡指定範囲外ですが、装飾古墳館の建設予定地から寒原遺跡墳墓群が発見され、保存のため建物が少しずらされることになりました。寒原3号墳は径8mほどの小円墳、4号墳は墳丘はなく、言われなければ古墳跡とはわかりません。4号墳(寒原遺跡第2号小円墳)は、径9mの円墳ですが、削平されていて、現在復元されています。主体部は箱式石棺でした。その隣にある第1号小円墳は径5mの円墳で、主体部は木棺直葬でした。他に2基の石蓋土壙墓が発見されています。

寒原3号墳

寒原4号墳(復元)

寒原4号墳の箱式石棺(復元)

寒原5号墳

寒原遺跡第1号小円墳(復元)

寒原遺跡第2号石蓋土壙墓

 寒原古墳群と双子塚古墳の間に位置するのが馬不向1〜3号墳です。いずれも周溝が巡る円墳ですが、詳細は不明です。

馬不向1号墳

馬不向2号墳

馬不向3号墳

 双子塚古墳の東側に2基の円墳があります。ともにきれいな墳丘が残っています。詳細はわかりません。

塚原古墳

下原古墳

 下原古墳の北側の林の中に未整備の狐塚古墳があります。径15mほどの円墳で、横穴式石室の石材が露出しています。

墳丘

石材が露出


辻古墳石棺

 元山鹿市方保田辻に存在した五世紀の円墳ですが、牧草地造成に伴い昭和40年に調査され、4基もの石棺が出土しました。石棺はすべて、装飾古墳館に保存されています。中庭にある1号石棺は長大な舟形石棺で、長辺側の加工が美しいです。建物南側には2〜4号石棺があります。2、3号石棺は家形石棺で、それぞれ直刀、人骨などが出土しています。4号石棺は箱式石棺で、鉄剣、刀子、人骨が出土しました。

1号舟形石棺

2号家形石棺

3号家形石棺

4号箱式石棺、左側の家形の蓋は何なのか不明


千田浦大間石棺群

 山鹿市鹿央町千田の千田浦大間古墳群【市史跡】から5基の石棺が出土し、そのうち3号石棺が装飾古墳館の中庭に保存されています。3号方形周溝墓から出土した家形石棺で、人骨三体、素環頭大刀、竹櫛などが見つかりました。蓋石は破壊されていて、組合せ式の身の上には復元された蓋石が置かれています。また、1号石棺がオブサン古墳となりの古墳の森に保存されています。2m×0.7mの家形石棺で、身は組合せ式です。なお、4号石棺は蓋石の側面に帯状の陽刻が施された装飾古墳ですが、どこにあるのか不明です。

3号舟形石棺蓋石

3号舟形石棺の組合せ式の身、蓋石は復元品

古墳の森にある1号石棺


宮原石棺群

 装飾古墳館の中庭には他にも熊本市北区植木町の宮原地区出土の石棺も保存されています。箱式石棺は平成二年に調査され、内部は赤く塗られていました。家形石棺は盗掘、破壊されていましたが、こちらも内部は赤く塗られ、二体分の人骨が埋葬されていました。ともに副葬品はありませんでした。

箱式石棺

家形石棺

家形石棺内部


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