熊本県山鹿市中心部


湯の口横穴墓群 【市史跡】【装飾古墳】

 山鹿市蒲生湯の口、湯口池という大きなため池の南側の斜面を中心に分布する横穴墓群で、258基確認されていて、うち92基が調査されています。総数は300基以上あると考えられ、熊本県では最大の横穴墓群です。しかし、見学は大変困難で、ため池南側の群は普段水没しており、渇水期のみ見学可能。それでもかなり危険ぽい。ため池の堤から西側の斜面にも横穴墓群は続いていますが、こちらは完全に薮に覆われ、手前に水路があるので、さらに見学は困難です。その堤防西側にある175号墓は玄門の上部に剣先状の浮彫が残っている装飾古墳です。

普段は水没

渇水期になると横穴墓出現、3〜4段に構築

ため池南側の横穴墓群、完全に薮の中


方保田古墳石室 【市指定考古資料】

 山鹿市方保田の大道小学校北側の県道301号線沿いにあります。学校の正門から県道を西へ100m行った先の金網の中です。昭和36年に土取り中に石室が発見され、調査後、近くの現在地に移設復元されました。径30mくらいの円墳と推定され、横穴式石室は巨大な板石で構築されています。石室の周囲も石材で囲っています。内部は全面赤く塗られています。

石室正面

石室後ろから

石室内部、真赤


端山塚古墳 【市史跡】

 山鹿市方保田、大道小学校の東300mあにるサンチェリー工業の駐車場奧にあります。現状で径26mの円墳ですが、南側がすぐ菊池川の河岸で、一部削られています。未調査のため詳細は不明です。古墳からすぐ東の方に亀塚古墳が見えています。

端山塚古墳

すぐ東に亀塚古墳が見えている


亀塚古墳 【市史跡】

 山鹿市方保田、端山塚古墳のすぐ東にあります。全長80mほどの前方後円墳ですが、後円部は上部が平らに削られ、石碑が立っています。前方部は標識には菊池川に平行するが破壊されている、と書かれていますが、現状は北側に向かって方形の墳丘が延びているようにも見えます。未調査のため詳細不明。

後円部

北側に延びる前方部?


弁慶ヶ穴古墳 【国史跡】【装飾古墳】

 山鹿市熊入町、八幡小学校のすぐ南東の三叉路上の墓地にあります。現状で径15mの円墳ですが、前方後円墳という説もあります。主体部は巨石を使用した複室構造の横穴式石室で、全長9.8m、前室幅2.6m、後室長3.45m、幅2.75m、高さ3.6m、後室の奥壁前には石屋形を構築しています。石室は古くから開口し、馬の壁画があることが知られていましたが、かつては側壁全面に壁画が描かれていました。現在残っているのは、羨道右側壁に人物像の浮彫があるほかはすべて彩色で、前室玄門右袖石前側に馬五頭、人物、舟に乗った人物が赤で、その裏側に同心円紋が赤と青で、左袖石の裏には舟の乗った馬などが赤で、前室右側壁には積荷を乗せた舟や馬などが赤で、左側壁には積荷を乗せて鳥が止まった舟と馬が乗った舟が赤で、後室玄門の右袖石閉塞部には馬に乗った人物が赤で、袖石側壁には同心円紋、馬が乗った舟、靭二つが赤と白で、左袖石前面には同心円紋と連続三角紋が赤・青・白で、袖石側面には盾?が赤・白で、後室石屋形の両袖石の小口に連続三角紋が赤で、それぞれ描かれています。特に馬が11頭、舟が11隻も描かれているのが特徴です。石室は壁画保護のために閉鎖されていますが、熊本県立美術館の装飾古墳室と熊本県立装飾古墳館に石室のレプリカがあり、装飾が見学できます。

古墳と石室の保存施設

装飾古墳館の石室レプリカ、羨道から前室玄門

後室玄門の装飾

後室奥壁と石屋形、袖石に連続三角紋がある

後室玄門袖石と前室左側壁の装飾

前室右側壁と後室玄門袖石の装飾

羨道右側壁の人物像、唯一の浮彫

前室玄門右袖石の馬、人物、舟

後室玄門右袖石の同心円紋、馬、舟


毘沙門塚古墳

 山鹿市熊入町416、カルチャースポーツセンター総合体育館の東にあります。径12mの円墳で、主体部は横穴式石室です。かつては石室内に毘沙門天が置かれ、信仰の対象となっていましたが、危険な状態のため、現在は埋め戻されています。壁面に赤色顔料が認められており、本格的な調査をすれば壁画がみつかるかもしれません。

 


御霊塚古墳

 山鹿市熊入町、カルチャースポーツセンター野球場のとなりにあります。全長43mの前方後円墳で、現在古墳は巨大な盾型土壇の上に前方後円形の墳丘を見せていますが、このほとんどが復元で、元々は後円部の一部しか残っていませんでした。残念なことに後円部は試合前の野球少年たちの格好の練習場になってしまっていて、一部崩れだしています。

広大な敷地だが、ほとんど復元

手前の前方部も完全復元


京塚古墳

 山鹿市杉、国道3号線沿いの杉稲荷神社の境内にあります。現状で径15mほどの円墳で、保存状態が良さそうに見えますが、石材なのか庭園なのかわからない石材が多数露出しています。詳細不明。

一見よさげな墳丘

謎の石材


竜王山古墳 【市史跡】

 山鹿市杉、日輪寺山の山頂にあります。山頂は公園になっていて、車で古墳近くまで登っていけます。径25mほどの円墳ですが、墳丘は周囲を削られ、石垣で囲まれています。主体部は竪穴式石室で、4.66m×1.46m×1.3mの大きさです。墳丘上に鉄の扉があり、おそらくこの中に石室があるものと思われます。四世紀末頃の築造です。

墳丘はかなり削られている

この扉の中に竪穴式石室?


臼塚古墳 【市史跡】【装飾古墳】

 山鹿市石字臼塚762、集落内の道路沿い、臼塚バス停の目の前にあります。本来は径28mの円墳ですが、周囲をかなり削られています。主体部は複室の横穴式石室ですが、羨道と前室の大部分を古墳前の道路工事で破壊されました。後室は2.55m×2.95mの大きさで隅丸の平面形、壁面は板石をドーム状に積み上げ、奥壁前に石屋形を構築しています。石室の天井部は失われ、現在は覆屋で保護されています。装飾は玄門と石屋形にあり、玄門の袖石左側には白色で人物像と三角紋、右側に白色で三角紋が描かれています。石屋形の奥壁には連続三角紋と円紋が描かれ、白・赤・青色で塗り分けられています。また、左側壁には白・赤で三角紋、その小口側にも三角紋が描かれています。

古墳の前がバス停です

後室奧から玄門

後室奧壁、石屋形の奥壁

後室奧壁、石屋形の奥壁反対側と袖石

 また、墳丘上にはかつて石人【県指定重要文化財】が置かれていましたが、現在は装飾古墳館に保管展示されています。短甲を装着し、背中に靭を背負った武人像で、赤色の三角紋などが良く残っています。

正面側、中央に赤い三角紋

裏側、靭を背負っている

赤い三角紋拡大


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