熊本県山鹿市鹿央町桜ノ上横穴墓群


桜ノ上横穴墓群 【県史跡】【装飾古墳】

 山鹿市鹿央町岩原、岩原横穴墓群の東600mにあり、道路沿いに標識が出ています。森山自動車の北側です。南向きの崖面に3群27基の横穴墓が確認されており、うち、5基に装飾があります。説明板のあるI-1号墓は入口が保存施設で閉鎖されていて、見学できませんが、全長7mの複室構造で、前室2基、後室3基の屍床が設けられています。多数の装飾が見られ、前室奥壁に「f」字紋など、後室奧屍床仕切前面と側面に線刻で連続三角紋、仕切の上面や側面には赤・白色の彩色、奥壁上方に二重円紋が描かれています。

 

 I-1号墓のすぐ西にあるI-2号墓も、同じく複室構造で、入口がわずかに開口していて、何とか内部を覗けます。装飾は前室奥壁に赤色で円紋など、後室奥・左右側壁に赤色で円紋、C字紋、U字紋が多数描かれていますが、前室奥壁の赤色顔料が確認できる程度です。

わずかに開口するI-2号墓、右奧にI-1号墓

前室から後室の玄門、上部に赤色の彩色

後室奥壁、赤の円紋があるはずだが、よくわかりません

 I-2号墓の30m西の道路の下にI-4号墓があり、道路南側の崖下に開口しています。規模、構造とも2号墓とほぼ同じですが、狭くて内部には入りづらいです。装飾は後室の3基の屍床の各仕切に白色顔料で何らかの紋様が描かれていますが、状態が良くないので、内容は不明です。

前室から後室方向、仕切が綺麗に残っている

奧、左右仕切の白色顔料

 I-4号墓のすぐ西隣にあるI-5号墓は、複室構造ですが、前室は屍床がなく、天井部も削り出しではなく割石を積んで構築しています。ここは、内部に入ることができますが、狭い上にゲジゲジが多いので、要注意。装飾は後室奥仕切に白・赤色顔料で何らかの紋様が描かれているほか、左右の仕切にも白色顔料が確認できます。

前室

後室、奧仕切中央と左右仕切上に白色顔料が見える

奧仕切中央の白色顔料

 I-5号墓は、I-4号墓の西20mにありますが、一旦I-1号墓まで戻って、崖の下から接近します。薮に埋もれているので、わかりにくいです。ここは単室構造で、後室に屍床がコの字に並んでいます。装飾は後室奥仕切中央の前面から上面にかけて白色顔料で両手・両足を広げた人物像が描かれています。前面には赤色顔料も残っています。また、左右仕切には上面に白色顔料で舟がそれぞれ描かれています。

薮の中に埋もれた6号墓

後室、奧仕切と左右仕切上に白色顔料あり

奧仕切中央から上部に白色顔料で人物像を描く

 I-9、10号墓は、薮の中に並んで開口しています。ともに単室構造ですが、9号墓は丸い玄門、10号墓は方形の玄門です。この違いって何?玄門にはかすかに赤色顔料が残っています。さらに西に横穴墓は続いていますが、これ以上の訪問は困難でした。

9号墓、丸い玄門

玄室、内部はドーム状

10号墓、四角い玄門

玄室


<ホームへ戻る>

 

inserted by FC2 system