鳥取県米子市淀江町向山古墳群

 

 向山古墳群は、淀江町福岡の独立丘陵である向山と瓶山にある15基、および石馬谷古墳(小枝山5号墳)からなり、うち14基が国史跡に指定されています。古墳群は現在、伯耆古代の丘公園の一部として、整備公開されています。


向山1号墳(岩屋古墳) 【管理人特選】【国史跡】

 向山丘陵の北端に位置する全長52m、後円部径30mの二段築成の前方後円墳で、後円部の南東方向に大きな台状造出が付きます。埋葬施設は後円部南に開口する複室構造の横穴式石室で、全長8m、後室長4m、幅2.7m、高さ2.6m、前室長2.5m、羨道長1.5mの規模です。各室はすべて一枚石で構築され、内部は真赤に塗られています。後室玄門は中央を四角にくり抜いています。前室は天井を失い、玄門も破壊されていますが、こちらも一枚石で築かれています。玄門には、扉石をはめ込む溝が加工されています。前方部にも箱式棺が存在したとされていますが、詳細は不明です。鳥取県を代表する大型かつ整美な石棺式石室で、一生に一度は訪問すべきでしょう。六世紀後半の築造と推定されています。

後円部に開口する横穴式石室

前室玄門

後室玄門

後室奥壁

後室玄門奧から

前室玄門奧から


向山8、2、6号墳 【国史跡】

 1号墳の南に隣接した8号墳は一辺26mの方墳で、六世紀中頃の築造です。その南にある2号墳は全長16mの小型の前方後円墳と書かれていますが、もっと大きいような気がします。墳丘がかなり削られています。六世紀中〜後半の築造です。その南東にある6号墳は全長40m、後円部径18mの六世紀中頃の前方後円墳です。

8号墳

2号墳

6号墳


向山3、7、4号墳 【国史跡】

 6号墳の西に隣接する3号墳は全長39m、後円部径23.5mの前方後円墳で、群中では最初に築かれた五世紀後半の築造です。となりの7号墳は径20mの円墳で、中近世にかなり改変されているので、方墳の可能性もあります。六世紀前半の築造です。その南の丘陵最高所に4号墳があります。全長64.5m、後円部径37.5mの前方後円墳で、群中最大規模です。くびれ部東側には小さな造出、前方部南側には台状の造出が付くかなり異様な形状をしています。五世紀末〜六世紀初め頃の築造です。

3号墳

7号墳

4号墳


長者ヶ平古墳(向山5号墳) 【装飾古墳】

 丘陵南端の整備範囲外にある全長48.5m、後円部径38mの帆立貝式古墳で、北東側に造出が付きます。墳丘はかなり流出し、横穴式石室の天井石が露出しています。石室は全長10.3m、玄室長5.7m、幅2.6m、高さ2.6mの両袖式で、県内でも有数の規模です。かつては良好に残っていましたが、2000年の鳥取県西部地震で側壁が崩壊し、立ち入りができなくなりました。第二主体部として、後円部で箱式石棺が見つかっています。六世紀中頃の築造です。

石室正面、天井石が露出

羨道、側壁が膨らんでいる

玄室奥壁

玄室奧から、右側壁が地震で崩壊

 羨道の右側壁に線刻があります。船と格子紋とされていますが、不明です。

右側の船?

左側の格子紋?


瓶山支群 【国史跡】

 向山丘陵の西に平行して並ぶ瓶山丘陵上にある支群で、7基からなり、うち、1、7号墳は前方後円墳です。

向山からみた全景

拡大、7号墳か?


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